暑い夏が来るまでの季節の細やかな移り変わりが好きだ。そこには、開襟シャツの胸元をいくぶんゆったり広げた開放感や、新緑の葉っぱから滴り落ちる蒸せかえるような匂いが充満している。海辺、山辺はもちろんのこと、都会の路上にもそんな色濃い情緒性が漂い、私たちの押すカメラのシャッターはいつもより饒舌だ。 そんな季節に「ウルトラカラープロ400UC」という新しいネガカラーフイルムを使った。改めて気がついたことは、ネガカラーのなんとも自然な発色性である。仮に言葉で修飾するとすれば「たおやかさ」というものだろう。これこそが本来のカラー写真の美しさなのだと思った。ウルトラというぐらいだから、もちろん飽和度の高さは十二分にある。しかも見たままの色再現にこだわっていく。それこそウルトラ級に賞賛するとすれば「職人的なフイルム」と言ってよいかも知れない。 |