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特集 テーマ特集 エクタクロームの世界

山里の桜を撮る

 春の暖かい日差しを浴びて山里へ出掛けませんか。人々が集まる有名な桜のポイントへ行くのも楽しいものですが、身近な所にも探せばすばらしい被写体があるのではないでしょうか。見つけることも楽しみの一つです。
 私は例年、桜のポイントを2〜3か所に決め、花のピンク色にこだわり、八分咲きの桜を撮っています。まず下見に行き、開花状況を判断して数日通うことから始まります。何年も何度も通うこともあります。


point1 桜のフレーミング
photo 春色
サンシュの黄色が飛ばないように、またコヒガンザクラのピンク色が白ヌケしないように、晴れの日を避けて薄曇りの日に撮影。
フジGX645AF Pro・80mm・F11・1/10秒(+0.3)・エクタクロームプロE100S・三脚・西吉野・3月下旬

 フレーミングを考える前に光の状況の確認が必要です。逆光、反逆光、順光など、光の状況によってフレーミングが異なるからです。上の作品は、斜め順光での撮影がベストでした。時間は朝9時から11時頃までです。太陽光線が直接桜を照らすと白ヌケ状態になりますが、この日は薄曇り、桜のピンク色が強調できました。

遠近感と色のバランス

 フレーミングでは、前景、中景、後景の花や木々の位置をどう配分するか、同時に色のバランスをどう組み立てるのかが重要です。頭の中でレンズワークを考えて最終的にどのレンズを使うかを選択します。
 この作例の場合は、標準レンズ80mm(中判カメラ)の使用となりました。ピントは黄色のサンシュに合わせ、絞り値をF11にして、背景の明暗を考えながら5段階(−0.7〜+0.7)で押さえました。太陽が見え隠れしていたので2段階多めに撮影しました。また、遠近感を出すために、背景に緑の木を入れ、手前に草の緑を入れて撮影、これで桜のピンク色も強調できました。


point2 桜に適した光線
photo2 春の日浴びて
竹林の中にある1本の桜。午後の順光を浴びて輝いていた。
350mmで竹の緑色と桜の白色とのバランスを考えてフレーミング。
フジGX645AF Pro・210mm・1.7X・F16・1/8秒(−0.3)・エクタクロームプロE100S・三脚・奈良(桜井)・3月下旬
photo
林間に咲く
霧雨の中の富士桜。この花は下向きに咲いているので下から見上げて撮影。露出は見た目どおりと判断して補正なし。
コンタックス645・T*120mmマクロ・F8・オート・エクタクロームプロE100VS・三脚・富士吉田(滝沢林道)・4月下旬
photo
春めく
太陽光が当たっていない朝の早い時間帯での撮影。露出をマイナス側にして段階露出。朝の桜の雰囲気を出した。
コンタックス645・T*140mm・F11・1/4秒(−0.3)・エクタクロームプロE100VS・三脚・吉野山・4月中旬
桜撮影の
ヒント
アップでねらうと窮屈に感じることがあります。適度に空間がないと息苦しい感じがするからです。少し引いて適度な空間を持たせることで解決します。

 風景を撮るには絶えず光線状態を把握する必要があります。場所や時間帯によって異なりますが、太陽の位置(高さ)を確認して、逆光で撮るのか、反逆光、順光、斜光で撮るのかを決めて、ポイントへ移動します。また、晴れ、霧雨、雨天など光線の強弱によっても花の色は変化します。桜の色を見た目どおりに写すには、薄曇りの日か霧雨や小雨くらいの日が適切です。

澄み切った青空バックは早朝に

 定番でもある青空背景でピンク色の桜をねらうには、できるだけ朝の早い時間帯(太陽の位置が高くならない)がおすすめです。澄んだ青空のもと、桜のピンク色をより鮮明に描写できます。また、フィルムの選択によっても、桜の花の色は変わります。E100VSやE100Gなどテストしながら好みのフィルムを見つけましょう。

時間帯で変わる桜の色

 今回の特集では、桜の花のクローズアップではなく、自然の中の桜をテーマに、少し引いた作品を集めました。中判カメラでレンズは標準(80mm)から中望遠(210mm)まで、光線状態は早朝から9時頃までの時間帯、柔らかい順光での撮影です。薄曇りの日を選び、フィルムは花の色の鮮やかさを表現できるE100VSを使用しています。 撮りたい桜が見つかったら、時間をずらしてもう一度行き、その日の光線を追い続けることも大切です。朝、昼、夕方など、光の変化によって新しい色の発見が期待できます。


point3 適正露出で花の色を引き出す
photo 春光
朝一番の光の柔らかい光線で撮影。少し高い所から桜の木の2/3に光が当たったときにシャッターを切った。コンタックス645・T*140mm・F22・1/6秒(−0.3)・エクタクロームプロE100VS・三脚・奈良(仏隆寺)・4月上旬

 桜の花は、ピンク色の強い色合いから白に近いピンク色まで、微妙な色合いを楽しむことができます。フィルムの選択もそうですが、露出のかけ方、撮影時間帯(早朝・昼間・夕方)によっても微妙に異なった色合いが出てきます。桜の撮影に魅力を感じるのは、多種多様な撮り方ができる奥の深い被写体だからでしょう。

花の色を生かすには絞り過ぎないこと

 桜の色の鮮やかさを引き出すには露出が重要です。マイナス側に補正すればするほど濁りが出てきます。逆に、プラス側へ補正し過ぎると花の色のトーンが失われます。
 桜の花の種類によって異なりますが、微妙な色合いを的確にとらえるには、段階露出を幅広くするほうが確実です。見た目の色を出すには−0.7から+1まで6段階で撮ると失敗が防げます。絞り値は背景をどう処理するかで異なりますが、花の色を生かすには絞り込み過ぎないように心がけます。

 上の作品は早朝の一番光が、桜の上から徐々に当たり始め、全体の2/3まで照らしたときにシャッターを押しました。
太陽の光と影を入れることによって立体的な描写を求めたかったからです。


point4 空間を上手に生かす
photo ひとときの色
コヒガンザクラのピンク色を強調したかったので、光線の柔らかい薄曇りの日を選んで撮影。ピントは中央の濃いピンク色の桜に合わせた。
コンタックス645・T*210mm・F16・1/6秒・エクタクロームプロE100VS・三脚・西吉野・4月中旬

 西吉野の山里に咲く桜です。桜には野生種として、エドヒガン群、ヤマザクラ群、チョウジザクラ群、カンヒザクラ群、マメザクラ群、ミヤマザクラ群などがありますが、上の桜は雑種のコヒガンザクラで、マメザクラとエドヒガンザクラの雑種です。

咲き誇る勢いを表現

 この場所は、堤に細い木々が群生していて、道端から見渡すと、まるでピンクの絨毯を敷いたように見えます。菜の花が遠慮がちに咲いていて、中央にはピンク色の花が見えます。草の緑色が桜のピンク色をより強調しています。

 群生している桜は、草などの緑色を入れることで主役が一段と輝きます。また、明と暗を入れると立体感が生まれ、画面全体が締まります。色彩の対比、明暗の対比により、咲き誇る勢いをより強く表現できるのです。

 この作品は、望遠系レンズで撮影、やや薄曇りで、時折右上に太陽の輪郭が見えていました。

桜におすすめE100VS
鮮やかな色調とヌケの良さで定評のあるE100VSは、花の香りと風の走りまでも描写でき、思いどおりのサクラ色を表現できるので満足しています。
やました・しげき

1947年三重県生まれ。愛知大学経済学部卒業。雄大な自然色彩美をテーマに写真展多数開催。写真集「変幻富士」「大地風彩」ピエブックス刊、「COLORS〜時間の色〜」光村推古書院刊。有限会社オフハウスデザイン写真企画室代表、(社)日本写真協会会員、日本写真作家協会会員、フォト十彩主宰



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