フラッシュ撮影を行うときに最も手っ取り早く簡単な方法は、カメラに搭載されているフラッシュを使うことです。しかし、プロレベルのフラッシュ写真を撮影したい場合は、以下に説明する特別なフラッシュ
テクニックを試してみてください。
バウンス フラッシュ
このテクニックでは、フラッシュを天井または壁に向け、被写体に跳ね返ってくる光を利用します。曇った日に外で見られるような、柔らかくむらのない光を生み出すことができます。バウンス
フラッシュは、ダイレクト フラッシュに比べてほのかな光が広い範囲に届くため、大きな室内や集合写真を撮る場合に特に便利です。カラー フィルムを使用している場合は、白または白に近い色の天井または壁にフラッシュを向ける必要があります。そうしないと、反射する表面からの色を含んだ光が被写体にかかる場合があります。白い色のものは、レフ版の役目をします。
バウンス フラッシュ用に設計されているフラッシュは通常傾けたり、回したりして、水平および垂直の構図どちらでも撮影できるようにフラッシュをバウンスさせられます。横に回るフラッシュを使用すると、壁に向けながら撮影こともできます。フラッシュにバウンス機能が内蔵されていない場合は、特別のブラケットを購入すればフラッシュをどの方向にも照射できます。
カメラに取り付けられた自動フラッシュ (センサーを備えた専用フラッシュ) をバウンス ライトとして使用する場合は、適正度な露出を決定するためにフラッシュの測光センサーを常に被写体に向けておく必要があります。TTL
または OTF 測光システムを備えた専用カメラとフラッシュの組み合わせで使うバウンス フラッシュの露出は、ほとんどすべての状況で自動的に正確な値を得ることができます。これは、光がカメラ内部で計測されるからです。
フラッシュがバウンス露出を自動的に計測する場合でも、オン カメラ フラッシュ写真の場合と同様に、フラッシュ メーカーが推奨するフラッシュと被写体の間の最長距離は、ダイレクト
フラッシュのみを対象としていることに注意してください。バウンス フラッシュでは、光の強さが50 % くらい低下します。バウンス フラッシュでの露出不足を防ぐために、フラッシュ、天井、被写体の間の距離は、使用している絞りに対して推奨されている最長フラッシュ距離の半分を越えないようにします。フラッシュ計算ダイアルで最長距離を確認してください。
自動フラッシュ (または専用カメラとフラッシュ) が備えている適量光インジケータは、バウンス フラッシュにおける露出が適正であるかどうか判断するのに役立ちます。フラッシュによっては、写真を撮影せずに、光が適量であるかをチェックすることができます。この機能を使うには、写真を撮らずにフラッシュを照射して、フラッシュからの発光が十分であったかを確認するためにインジケータ
ライトを確認します。ほとんどのフラッシュには、カメラとは無関係の照射用ボタンが付いています。光が十分でない場合は、絞りを大き目にするか、被写体に近づくか、またはより高速のフィルムを使用してください。
使っている自動フラッシュに傾斜または回転機能がない場合にバウンス用として使うには、フラッシュをカメラから取り外し、バウンスさせる表面にフラッシュを向けます。しかし、露出センサーはフラッシュと同方向
(被写体ではなくバウンスする表面) に対して測光するため、被写体ではなくバウンス面に反射する光を読み取り、適正な露出を得られません。この問題を解決する唯一の方法は、フラッシュをマニュアルに切り替えることです。
マニュアルでバウンス フラッシュの露出を決定するには、まずフラッシュから反射物、そして反射物から被写体までの距離の合計を算出します。次に、この距離に対応する絞り値をフラッシュ選択ダイアルで確認し、その絞り値よりも
1 1/2 〜 2 段大きい絞りに設定します。たとえば、ダイアルが f /8 を示す場合には、 f /4 を使用します。
フラッシュに計算ダイアルが付いていない場合は、ガイド ナンバーを合計距離で割ります。そして、ガイド ナンバーから計算した f ナンバー(絞り値)よりも
1 1/2 〜 2 段大きい絞り値を使用します。露出は、部屋の大きさや色によっても影響されます。
被写体が明るい日光によって照らされていると、重要なディテールに強い影がかかって不鮮明になることがよくあります。このような影に隠れたディテールを浮き立たせるためにフラッシュを使うことができます。このフラッシュ方法をフィル
フラッシュと呼びます。
フィル フラッシュは、顔の表面にかかる影を取り除く場合に特に便利です。さらに、人物に対してフィル フラッシュを使うと、被写体は日光に直射されず目を細めなくてすみます。逆光によって被写体の縁にできた光は、髪に輝きを与え、被写体を周囲から浮き立たせます。
最高の仕上がりにするためには、中低速のフィルムを使って、日光とフラッシュの露出のバランスがよくなるようにしてください。コダック ロイヤル ゴールド 25 フィルムやコダック
ゴールド 100、 200 フィルムを使うとよいでしょう。
フィル フラッシュの露出は、被写体の露出が背景の露出よりも 1 段小さ目であることが理想的です。このような露出設定によって、影を抑えてディテールを表し、自然な写真を撮ることができます。メインの被写体に対して背景と同じ露出を与えると、写った光が不自然に感じられます。
フィル フラッシュは、専用、自動、またはマニュアルのフラッシュ装置で使用できます。フラッシュ モードを選択できる場合は、自動フラッシュを選択すると、他のモードに比べて使いやすいでしょう。
自動フィル フラッシュ機能を備えた専用フラッシュとカメラの組み合わせで照射するのが最も簡単な方法です。最近では、TTL または OTF 測光、特にマトリックス
OTF 測光システムを備えた専用フラッシュとカメラの登場により、撮影者はフィル フラッシュ撮影における露出を計算する必要がなくなりました。これらのシステムは、背景に対して適正な露出を決定するように設計されており、メインの被写体に対して約
1 段小さい光を自動的に割り当てます。高性能の一眼レフカメラとフラッシュの併用では、被写体から背景までの光の比率をスイッチで切り替えられる場合があります。
OTF 測光および自動フィルを備えたプログラム カメラ では、単にフラッシュをカメラに取り付けるだけで準備完了です。カメラが自動的に環境光を計測し、メインの被写体に対して適度な光の量のフラッシュを当てます。オートフォーカスも備えている場合、カメラは必要なフィルの量を計算するためにレンズからの距離情報を利用することがあります。被写体に近づいたり離れたりすると、カメラはその距離に合わせて絞りまたはフィル量、あるいはその両方を調整します。また、ある一定の絞りを維持したい場合に(たとえば、被写界深度のため)絞り優先モードに切り替えても適度なフィル
フラッシュを得ることができるカメラもあります。
フィル フラッシュの使い方については、ご使用のカメラおよびフラッシュの説明書を参照してください。
フィル フラッシュを使用する場合、一つだけ注意しなければならないことがあります。それは、内蔵フラッシュを搭載するコンパクト カメラまたは一眼レフカメラでは、その「自動フラッシュ」が「自動フィル
フラッシュ」のことを指しているのではないということです。「自動フラッシュ」は、単に被写体に対して適量のフラッシュを自動的に供給する機能であるため、被写体と背景の露出は同じになってしまいます。その一方で、自動フィル機能のあるカメラで撮影すると、被写体と背景の間における光の関係がより自然に表現されます。しかし、硬調の強い状況で撮影する場合には、自動フラッシュを使ったほうが、フラッシュを全く使わないよりもよいでしょう。
自動フラッシュまたはマニュアル フラッシュ(またはマニュアル モードの自動フラッシュ)で適正な露出を計算することは少々時間のかかる作業ですが、いくつかの簡単なステップにまとめることができます。自動またはマニュアルに関わらず、基本的な手順は、まず環境光に合わせて絞り値を設定し、次に環境光の光の量に対して
1/2 〜 1/4 の明るさのフラッシュを使用します。
まず、明るい環境光の露出計を読み取ります。そのためには、カメラのシャッター スピード ダイアルで最も速いシンクロ
スピードに設定し、露出計が示す絞り値にレンズを設定します。マニュアル モードでは、環境光を読み取ったあとに、フラッシュから被写体までの距離を変えると、フィル
ライトの量を調整することができます。自動フラッシュでフィル フラッシュの量を調整するには、使用するフィル ライトの量に一致するモードを選択します。