オートカメラは、平均的な輝度の被写体を平均的な明るさの中で撮影した場合に適切な露出が得られるようにプログラムされています。しかし、前のセクションでも説明したように、常に平均的な明るさの中で平均的な被写体を撮影するとは限りません。オートカメラの露出計は、特定の条件では正しく計測できないこともあり、その信頼性は、採用されている露出システムによって異なります。
かなり特殊な状況でも正確な露出を測定できるオートカメラもあります。そうしたカメラには、マトリックス測光、またはゾーン測光と呼ばれるシステムが採用されています。この測光システムでは、カメラに内蔵されたコンピュータが撮影領域をグリッドによって区分します。コントラスト、鮮明度、被写体サイズなどの様々なデータを比較し、これらの情報に基づいて「精度の高い」露出決定を行います。カメラによっては、メモリーに記憶されている数千の露出パターンを比較して決定するものもあります。このタイプのカメラであれば、逆光でも適切な露出を得ることができます。
マトリックス測光機能またはゾーン測光機能を備えたカメラの場合、複雑な光の状況でも、微調整をほとんど行う必要がないこともあります。このようなカメラを使用している場合は、露出調整が難しい状況で撮影した写真で、露出計の数値がどの程度適正だったかを確認してみるとよいでしょう。適正さに欠けるようであれば、標準的な露出モード(またはマニュアル)に切り替え、ここでの説明にしたがって撮影してください。
測光システムの精度がどんなに高いカメラでも、ある程度の操作は必要となります。そのため、露出を調整する制御機能がいくつか備えられています。一般的な制御機能には、スポット露出計、露出ロック、逆光ボタン、露出補正コントロールなどがあります。被写体やカメラの設定を変更した際には、こうした露出補正機能をニュートラルの状態かゼロに設定し直すようにしましょう。
スポット露出計を使うと、黒い背景の中にある鮮明な色の花といった、小さくても重要な領域の適正露出値を測光することができます。この機能を利用するには、スポット露出計ボタンを押すか、シャッターボタンを半分くらい押します。シャッターボタンを押しつづけている間(または写真を撮り終えるまで)、そのスポットから読み取られた情報が維持されます。なかにはスポットボタンを押すだけで、写真を実際に撮り終えるまでその露出をロックするものもあります。
露出(メモリー)ロックボタンを押すと、領域全体を測光し、その読み取った結果が写真を撮り終えるまで保存されます。メインの被写体をフレーム全体でとらえるまで被写体に近づき(実際に近づくか、ズームレンズを使って)、その読み取り結果をロックすることによって、風景や顔などの重要な部分への適正な露出を得ることができます。露出がロックされている限り、構図を変更しても露出は適正なままです。
露出(メモリー)ロックは、光のコントラストの強い状況で撮影する場合に便利です。たとえば、明るい背景の前にある暗い被写体(またはその反対)のクローズアップ測光を行う必要がある場合、まず被写体に近づいて読み取りを行い、その露出を維持するためにメモリーロックボタンを押します。そして、元々の位置に戻って写真を撮影します。ズームレンズを使用するならば、まずズームを最長の焦点距離に合わせて、測光してロックします。次に、ズームを調整して構図を変更します。
露出補正コントロールは、プラスマイナス最大 2 〜 3 目盛り分の露出を、1/2 目盛りまたは 1/3 目盛り単位で自動的に補正します。露出補正は、露出計があまりうまく機能しない逆光の場面や、被写体の光の反射が強いまたは弱いという状況での撮影に便利です。
これほど高性能でないカメラでも、複雑な露出補正機能の代わりに逆光ボタンという機能を備えているものがあります。これは、実際には露出補正ボタンであり、極度の逆光で暗くなった被写体(顔など)を撮影するときの露出を補正するために、一定量(通常 1 1/2 〜 2 目盛り分)の絞りを調整します
お使いのカメラに補正コントロールや逆光ボタンがない場合は、感度ダイアルを調整することによって露出を補正できます。カメラのフィルム感度ダイアルを 2 倍の値にすると露出が 1 目盛り分減少し、逆に感度値を半分にすると 1 目盛り分増加します。
フィルム感度の設定を変更するか補正機能を使って露出を補正するには、実際に必要な補正量が判っている必要があります。全体的に明るい場面または暗い場面を撮影する場合、特に人物が含まれないような撮影では、補正量を割り出すことはそれほど難かしくありません。また、露光寛容度(ラチチュード)が広いカラー ネガティブ フィルムを使用する場合は、補正量はあまり重要ではありません。
しかし、たとえば日の当たっている雪山を撮影する場合、露出不足だと雪が真っ白ではなく少し灰色がかって写ります。このような場面では、露出計の数値よりもおよそ 1 目盛り分多く露出する必要があります。したがって、フィルム感度を半分の値に設定するか、補正コントロールで 1 目盛り分を追加します。たとえば、ISO 200 のフィルムでは、ダイアルを 100 に設定します。逆に、露出過剰になるような場面を撮影する場合は、フィルム感度を 2 倍の値にセットするか(たとえば ISO 200 を ISO 400 に変更する)、または補正コントロールで 1 目盛り分減少させます。
DX コード で自動的に ISO 感度を設定するカメラでは、感度を変更することができない機種もあります。 また、 1 本のフィルムの途中で ISO 感度を変更した場合、残りに影響が出ないよう、忘れずに元の感度に設定し直しましょう。