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映画用フィルムの取り扱い

~ 撮影前の生フィルムと撮影済み未現像フィルムの取り扱いについて ~

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概要

フィルムは生ものです。未現像のフィルムは、時間の経過につれて徐々に最低濃度が上昇し、感度の低下やコントラストの変化といった写真特性の変化を引き起こします。 この現象は、白黒フィルムに比べてカラーフィルムの方が明らかな傾向にあります。カラーフィルムには複数の感光層がありますが、 感光層ごとに写真特性の変化が起こる早さが異なるため、結果としてカラーバランスの変化も引き起こされます。不適切な保管は、 製造上の乳剤のバラツキよりも大きなカラーバランスの変化や、写真特性の変化を引き起こす原因になります。最良の結果を得るためには、 生フィルムと撮影済み未現像フィルムをX 線や有害なガスから守ると共に、保管中は温度や湿度に気をつけて、注意深く取り扱うことが大切です。

以下にフィルムを最良の状態でご使用いただくための取り扱い上の注意事項を記しました。

  • 生フィルムや撮影済み未現像フィルムには強い衝撃を与えないようにして下さい。
    衝撃によりフィルムに加わった圧力が原因となって、部分的なカブリが生じることがあります。輸送の際は衝撃からフィルムを守るための適切な梱包が必要です。また、 誤ってフィルムを落下させてしまった場合、外見上は大丈夫そうに見えても、できるだけそのフィルムは使用しない方がいいでしょう。
     
  • 生フィルムや撮影済み未現像フィルムは高温となる場所に保管しないで下さい。
    高温下での保管は、フィルム全体あるいは部分的に最低濃度を上昇させ、写真特性を変化させます。炎天下の車内やダッシュボード上、 直射日光の当たる所やストーブの近くなどにフィルムを放置しないようお願いします。
     
  • 生フィルムや撮影済み未現像フィルムは低温で保管して下さい。
    家庭用の冷蔵庫で保管する場合は、湿気を防ぐためにテープで密封されたパッケージ(工場出荷時の缶またはプラスチックのパッケージ)をさらに冷蔵保存用の容器や袋 (ジップロックなど)に入れて密封して下さい。
     
  • 低温で保管された生フィルムは、使用前に室温になるまでウォームアップする必要があります。
    十分なウォームアップをせずに使用すると、結露による水滴が原因で、現像後のフィルムに濃度の異なる斑点が生じる恐れがあります。
     
  • 空港で乗客の荷物検査に使用されているX 線検査装置に生フィルムや撮影済み未現像フィルムを通すと、カブリや筋状のむらが生じることがあります。
    特に航空会社が「預け入れ荷物」に使っているX 線検査装置は、フィルムに著しい影響を与えることがありますので、生フィルムや撮影済み未現像フィルムを空輸する場合は、 カウンターで生フィルムであることを説明し、「預け入れ荷物」には入れず、「機内持ち込み手荷物」として人の手による検査を受けることをお奨めします。 安全のためには手荷物として持ち運ばず、宅配便などで陸送することをお奨めします。
     
  • ガスや蒸気、湿度によっても影響を受けることがあります。
    いったんフィルムをパッケージ(工場出荷時の缶またはプラスチックのパッケージ)から出したら、もはや温度、湿度、X 線、 有害なガス等からフィルムを完全に保護することはできません。湿気の多いところでは、パッケージから出したフィルムはできるだけ早く撮影し、 すみやかに現像処理することが基本です。
     

詳しくは、以下の頁をご覧下さい。



 

未開封の生フィルムの取り扱い

まず、未開封でパッケージ(工場出荷時の缶またはプラスチックのパッケージ)に入った状態の生フィルムの取り扱いについてご説明します。

衝撃

未開封のフィルムパッケージには強い衝撃を与えないようにして下さい。缶がへこむような衝撃が内部の生フィルムに伝わると、 圧力によって部分的なカブリが生じることがあります。輸送の際は衝撃からフィルムを守るための適切な梱包をすると共に、落としたり、機材にぶつけたりしないようにして下さい。

温度

【保管温度】
保管が6 ヶ月以内の場合は、生フィルムを13℃以下で保管して下さい。
保管が6 ヶ月以上になる場合や、安定した結果が要求される厳しい条件下で撮影する場合は-18℃から
-23℃の間で保管して下さい。 このような方法でも写真的な特性の変化を完全になくすことはできませんが、少なくとも最小限にとどめることはできます。

生フィルムの適切な保管温度と湿度
  短期(6ヶ月未満) 長期(6ヶ月以上)
  温度 相対湿度 温度 相対湿度
生フィルム(注) 13℃ 以下 60% 未満 -18 から -23℃ 60% 未満

注)生フィルムを、未開封のパッケージに入った状態で保管する場合の条件です。
* 冷蔵庫等からフィルム缶を出した場合、結露を起こさないよう、缶の温度が外気と同じになるまで開封しないで
  下さい。

フィルムに含有される湿気の測定に使われるのは相対湿度であり、絶対湿度ではありません。相対湿度は乾湿球湿度計で測定するのが最も良い方法です。 小さな保管室では家庭用の湿度計などでも十分です。
 

【ウォームアップ】
低温の保管場所から冷えた状態で生フィルムを取り出した際は、パッケージを開ける前に、パッケージが室温と平衡状態になるのを待たなければなりません。
フィルム缶の中と使用場所の温度に差がある場合、缶を開けた時にフィルムの表面に結露が起こります。これは現像後に濃度の異なる斑点になる場合があります。また、 低温下ではフィルムが収縮しますのでロールの巻きに緩みが生じます。緩みの生じた生フィルムでは、振動などの影響でロールがたけのこ状になったり、段差を生じたりします。 ウォームアップによって、こうした問題を未然に防ぐことができます。

主なフィルムのウォームアップ時間(注)
フィルムの種類 ウォームアップ時間(時間)
14℃上げる 55℃上げる
Super 8 1 1.5
16 mm 1 1.5
35 mm 3 5

注)上記の表は、フィルムを1 本ずつの状態にした場合の時間的目安です。10 本や20 本といったカートン梱包の
   ままでは、 常温に戻すためのウォームアップ時間は上記の5 倍〜10 倍程度必要な場合があります。
 

X 線

生フィルムはX 線源、または他の放射性物質の近くに保管すると、カブリを生じる恐れがありますのでそれらと一緒に輸送をしてはいけません。また、病院、工場、 研究所など放射性物質が使われている場所では、細心の注意が必要です。海外に輸送される未現像フィルムには、「DON'T X-RAY, Contents:
Unprocessed Photographic Film (内容物:未現像写真フィルム。X 線をかけないで下さい)」と書かれたラベルを貼ったほうが良いでしょう。(このラベルをご希望の場合は、弊社までご連絡下さい。)
現像が終わるまでは、空港で行われる乗客の荷物検査に使用されているX 線の影響を受け、カブリや筋状のむらを生じる恐れがありますので、注意が必要です。

※ X 線による荷物検査への対策については、 こちら をご覧下さい。

その他

【ガスと蒸気】
ガス(ホルムアルデヒド、硫化水素、二酸化硫黄、アンモニア、照明用ガス、エンジンからの排気ガスなど)と蒸気(有機溶剤、衣類の虫除け用薬品、クリーナー、テレピン油、 カビ防止剤、水銀等)は、フィルムの感度を変化させます。生フィルムが入っているパッケージは、ある種のガスや蒸気の侵入は防止しますが、その他のガスや蒸気は、 封をしている粘着テープのわずかな隙間からゆっくり浸透していきます。これらは、感度を変化させたり、化学的なカブリを生じさせたりする原因となります。 生フィルムをそのような汚染環境(例えば、衣類の虫除け用薬品の入っている引き出しや、押し入れなど)に保管しないようにして下さい。

【湿度】
高湿の方が高温よりはフィルムに対してはるかに有害ですので、湿気に対しては特に注意する必要があります。テープで密封されていても、生フィルムが入っているパッケージ内に、 隙間を通して湿気が入り込むのは避けられません。地下室や、家庭用の冷蔵庫のような相対湿度の高い場所(70% かそれ以上)に生フィルムを1 ヶ月以上保管する場合は、 パッケージ内に湿気が入り込まないようにしなければなりません。パッケージに入った生フィルムを未開封のまま、別のプラスチック容器や缶、 または冷蔵保存用の密封袋(ジップロックなど)に入れ、二重に密封することで、湿気から保護することができます。

【その他の取り扱い上の注意点】
映画用生フィルムは、嵐による浸水や、水道管・下水道からの水漏れ、ガラス窓の結露等によるダメージを受ける危険がないような場所に、また、 床から少なくとも15cm 高いところに保管して下さい。
冷房によって湿気が壁に集まり、凝着することがないように保管場所を設計するか、適切な換気を行うように注意を払って下さい。フィルム1 本1 本の特性が一定に保たれるように、 保管場所全体の空気を循環させて、温度をできるだけ一定に保って下さい。
また、生フィルムを取り扱う際には、指紋がフィルムの部分的な感度変化を起こさないように、常にエッジ部を持って取り扱って下さい。フィルムを折り重ねたり、 折り目をつけてしまったりした場合も、部分的な感度変化を引き起こします。



 

開封後、現像するまでのフィルムの取り扱い

次に、生フィルムを開封後、撮影してから現像するまでの取り扱いについてご説明します。工場では適切に相対湿度が保たれた状態で、フィルムをパッケージングしています。
パッケージを開けた瞬間から、フィルムは外気にさらされることになります。撮影済み未現像フィルムは湿度と温度に影響を受けますので、 できる限り早く現像することをお奨めします。

衝撃

生フィルムと同様、パッケージには強い衝撃を与えないようにして下さい。

温度

フィルムは元のパッケージに戻しておくか、カメラ、カートリッジ、マガジンなどに装填している場合は、キャリングケースに入れるなどして直射日光から保護し、 高温となる場所に放置しないようにして下さい。炎天下の車内やダッシュボード上、直射日光の当たる所やストーブの近くなどでは温度が軽く60℃以上になることがあります。 撮影前や撮影後のフィルムをこのような環境に数時間放置した場合、温度の影響でフィルム全体あるいは部分的に最低濃度が上昇し、 カラーバランスや画質が損なわれる危険性があります。
すぐに現像できない場合、撮影済み未現像フィルムは -18℃から-23℃で保存して下さい。

撮影済み未現像フィルムの適切な保管温度と湿度
  短期(6 ヶ月未満) 長期(6 ヶ月以上)
  温度 相対湿度 温度 相対湿度
撮影済み未現像フィルム(注) -18 から-23℃ 60% 未満 推奨できません

注) 撮影後は、できる限り早く現像することをお奨めします。保管条件を守って保存したとしても写真特性が劣化する恐れがあります。
* 冷蔵庫等からフィルム缶を出した場合、結露を起こさないよう、缶の温度が外気と同じになるまで開封しないで下さい。

X 線

フィルムを開封し、撮影した後、現像が終わるまではX 線や他の放射線の影響を受けないように取り扱って下さい。現像が終わるまでは、 空港で行われる乗客の荷物検査に使用されているX 線の影響で、カブリや筋状のむらを生じる恐れがありますので注意が必要です。

※ X 線による荷物検査への対策については、 こちら をご覧下さい。

ガスと蒸気

生フィルムと同様、撮影済み未現像フィルムは、有害なガスと蒸気(先述)によって悪影響を受けます。開封後のフィルムやカメラ内に装填された状態のフィルムは、 有害なガスや蒸気から離れた場所に保管して下さい。

湿度

相対湿度の高い場所での撮影では、フィルムが余分な湿気を吸収しないようにしなくてはなりません。例えば撮影が1 日以上延期されるような場合、 撮影途中のフィルムが入っているフィルムマガジンは、いったんカメラから取り外し、湿気を防ぐことができる箱や容器に保管しておいて下さい。
撮影が終わったら、直ちにフィルムを元のパッケージに入れ、テープで密封して下さい。フィルムは撮影中に湿気を吸収していますが、 密封することで湿気の吸収を最小限度に抑えることができます。なお、缶の大きさに対して中に入れる撮影済みのフィルムの量が少ない場合は、 高い湿度を含む空気が缶の中に封じ込められることになります。このような場合は、元のパッケージとは別に、耐湿性があり、光を通さない容器を用意し、 その中にできるだけ多くの撮影済みフィルムを詰め、封をすると良いでしょう。

静電気

静電気もフィルムに悪影響を及ぼします。生フィルムと撮影済み未現像フィルムに静電気が生じた場合、現像処理後のフィルムに、 スタチックマークと呼ばれる光が当たったようなスジむら、小さな斑点、全体あるいは部分的なカブリ等がフィルム上に現れます。高感度フィルムは低感度フィルムに比べて、 静電気の影響を多く受けますので、乾燥した季節には特に注意してフィルムやカメラを取り扱って下さい。



 

空港でのX 線検査とフィルムの輸送

空港で乗客の荷物検査に使用されているX 線検査装置に生フィルムや撮影済み未現像フィルムを通すと、カブリや筋状のむらを生じることがあります。

航空機を利用したテロの防止という観点から、各航空会社は乗客の「預け入れ荷物」検査に最新のX 線検査装置を導入しており、検査は年々厳しくなっています。 新型のX 線検査装置では、通常のX 線出力で荷物の中がよく見えなかった場合、検査装置が自動で集束させた、より強力なビームを使用してスキャンを続けます。この結果、 荷物が多量のX 線を浴びてしまう可能性があります。このような原因で、 従来はX 線検査による影響を受けなかった国や地域においてもカブリや筋状のむらが発生したという例が報告されています。

空港で行われるX 線による荷物検査から生フィルムや撮影済み未現像フィルムを守るには、陸送の宅配便を利用するなど、航空機を使わない手段で輸送することをお奨めします。

海外で撮影する場合は、現地のコダックまたはコダックの正規代理店から生フィルムのご購入と撮影済みフィルムを現地の現像所で現像されてから持ち帰ることをお奨めします。

海外の現像所については、 こちら をご覧下さい。

航空便以外に手段がない場合は、DHL、FedEx などの航空輸送業者と話し合って、安全な輸送方法を確保することをお奨めします。 航空輸送業者はX 線検査を通さずにフィルムを輸送するサポートをしてくれます。

やむを得ず、生フィルムや撮影済み未現像フィルムを乗客の手荷物として輸送する場合は、「預け入れ荷物」に入れないようお願いします。「預け入れ荷物」は、 お客様の目の届かないところで高出力のX 線検査装置による検査が行われる場合があります。「預け入れ荷物」に使われるX 線検査装置は強力で、フィルムにカブリを生じさせます。 航空会社のカウンターでフィルムであることを説明し、「機内持ち込み手荷物」にして、手検査(ハンドインスペクション)を受ける方法が最も安全です。
 
チェンジバッグおよび開封されても良い予備フィルムを用意しておくことをお奨めします。検査官はこのバッグに両手を入れ、フィルムを検査することができます。 (検査官が手検査を拒否し、やむを得ず「機内持ち込み手荷物」のX 線検査を受けることになったとしても、フィルムが浴びるX 線の量は、 「預け入れ荷物」として検査される場合よりもはるかに少なくなります。)
 
手検査の受け入れには航空会社や空港、国ごとに差が有り、手検査が承認されるまでに時間がかかることもあります。 空港には充分な余裕をもって到着されることをお奨めします。
 
フィルムの感度は、低ければ低いほどX 線によるカブリの危険性が少なくなります。つまり、EI(露光指数) 50 のフィルムは、EI 500 のフィルムよりも安全です。
 
X 線の影響は徐々に蓄積していくため、X 線検査を受ければ受けるほどフィルムへのダメージが増大します。目的地までの経路は最短にすることをお奨めします。

X 線防止袋について

市販されているX 線防止袋(またはシート)は、袋の内側全面にX 線遮断効果のある鉛のシートが薄く貼り付けられているものですが、完全にX 線を遮断するものではありません。 X 線の強度によっては、鉛を透過して、フィルムに照射されてしまうこともあります。

実際に、X 線防止袋に入れたフィルムを空港のX 線検査装置に通した場合、通常ではX 線防止袋の中が見えません。その結果、検査官は中が見えるまでX 線の強度を上げるため、 結果的に、フィルムは通常に検査された場合よりも多くのX 線を浴びてしまう可能性があります。従って、空港でのX 線検査装置に対しては、 X 線防止袋(またはシート)は決定的な有効手段とは言えませんが、自然界に存在する微量のX 線や宇宙線、 また不慮の放射線照射からフィルムを一時的に保護する目的で使用するのには有効です。

米国での輸送については、米国運輸保安局のウェブサイト( U.S. Transportation Security Administration )に掲載されています。


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