生フィルムと露光済みフィルムの保存
生フィルムと露光済みフィルムの保存 (18)
未現像の写真感光材料のほとんどは、時間を経るに従ってセンシトメトリー上、徐々に変化するという特性をもっており、感度の損失、コントラストの変化、カブリの上昇の原因になります。カラーフィルムでは、数種類の感光層の反応する早さは、必ずしも同じではないため、そのフィルムのカラーバランスも変化します。不適当な保管は、フィルム製造時の多少のバラツキよりももっと大きな色の変化や、フィルム感度の変化の原因になります。フィルムを有害な放射線やガスから守ると共に、温度や湿度を念入りに調節し、注意深い取り扱いをすることが、フィルムを長い期間にわたって使用する際に大切なことです。
この項では、生フィルムと露光済みの未現像フィルムの保存方法を説明します。 この表 には、最適な保存条件を要約してあります。
オリジナルパッケージに入った生フィルム
温度
通常、経年変化によるセンシトメトリー上の変化の速度は、フィルムが保存されている温度が低ければ低いほど遅いものです。6ヵ月までの保存期間で、映画用生フィルムの最適なフィルム性能を保つためには、全体の期間を通して 13℃ (55゜F) か、それ以下で保存しなければなりません。
もし、フィルムを6ヵ月以上保存する場合や安定した結果を要求する厳しい条件下でフィルムを使用する場合には、生フィルムは -18゜から -23℃ (0゜から -10゜F まで)の間で保存されなければなりません。このような保存方法でもセンシトメトリー上の変化を防ぐことはできませんが、少なくとも最小限にとどめることはできます。
重要事項 : 冷えた保存場所から生フィルムのパッケージを取り出した後、缶を開ける前に、バッケージが室温 (70゜F +/- 5゜F) まで暖まるのを待たなければなりません。これはフィルムを取り扱う際に、寒気によって引き起こされたロールの巻き弛みのため、そのロールが漏斗状に伸びるのを防ぐと共に、水分の凝着やフィルムのスポットを防ぐことになります。
フィルム
の種類
|
ウォームアップ時間
(時間) |
14℃
(25゜F)
上げる |
55℃
(100゜F)
上げる |
8 mm
super 8
16 mm
35 mm |
1
1
1
3 |
1 1/2
1 1/2
1 1/2
5 |
放射線
X線源、または他の放射性物質の近くに保存、またはそれらと一緒に輸送をしてはいけません。 輸送業者、航空会社等が使うスキャナーの中にも生フィルムにカブリを生じさせるものがあります。 特に病院、工場、ラボなど放射性物質が使われている場所では、細心の注意が必要です。海外に輸送される未現像フィルムには、 「内容物:未現像写真フィルム。X 線をあてないでください」 と書かれたラベルを貼ったほうがよいでしょう。(このラベルをご希望の場合は、コダック株式会社までご連絡下さい。)
短期
(6 ヶ月未満) |
長期
(6 ヶ月以上) |
|
| |
温度 |
相対湿度 |
温度 |
相対湿度 |
生フィルム
(オリジナル
パッケージ) |
13℃ (55゜F) |
70% 以下 |
-18゜から -23℃
(0゜ 10゜F) |
- |
露光済みの
未現像フィルム |
-18゜から -23℃
(0゜ 10゜F)* |
- |
推奨できません(下記注意を参照) |
冷蔵庫等からフィルム缶を出した場合、温度が外気の結露点を越えるまで封をしたまま放置してください。
* 露光済みのフィルムは、できるだけ早く現像してください。 |
ガスと蒸気
ガス(ホルムアルデヒド、硫化水素、二酸化硫黄、アンモニア、照明用ガス、エンジンからの排気ガスなど)と蒸気(有機溶剤、衣類の虫除け用薬品、クリーナー、テレピン油、カビ防止剤、水銀等)は、写真感光乳剤の感度を変化させます。映画用フィルムが入っている缶は、ある種のガスの侵入は防止しますが、その他のガスは、封をしている粘着テープをゆっくり貫通してきますので、フィルムをそのような汚染環境(例えば、衣類の虫除け用薬品の入っている引き出しや、押し入れなど)から遠ざけておくことが必要です。さもないと、ハロゲン化銀粒子の減感や、化学的なカブリを生じたりする原因となります。
相対湿度
テープで密封された缶を通して少量の蒸気が入り込むのは避けられませんので、湿った地下室や、または家庭用冷蔵庫のような相対湿度の高い場所(70%かそれ以上)で1ヵ月以上保存する場合、映画用フィルムには、更に水蒸気防止の措置をしなければなりません。未開封のロールを別のプラスチック容器か缶にいれて密封し、保護するとよいでしょう。
注意 : フィルムに含有される湿気の測定に使われるのは 相対湿度であり、絶対湿度ではありません。相対湿度は乾湿球湿度計で測定するのが最も良い方法です。小さな保管室では家庭用の湿度計などでも十分です。
取り扱い
映画用生フィルムは嵐による洪水や、水道管、下水道からの水漏れがフィルムにダメージを与える危険がないような場所に、また床から少なくとも15cm (6インチ)離して保管してください。
空冷のため湿気が壁に集まり、凝着することのないように部屋を作るか、換気をしてください。もし耐火性の建造物でなければスプリンクラーを設置してください。既に述べたように、フィルム缶に封がされている限り、70%以下の相対湿度を保つことは、それほど重要ではありません。フィルム1本1本の特性が一定に保たれるように、保管室全体の空気を循環させて 温度 をできるだけ一定に保ってください。
部屋の温度にかかわらず、フィルムを暖房パイプの近く、または直射日光の当たるところに保管しないでください。
露光前と露光後の未現像フィルム
一般的な考え方
包装を開けた瞬間から、フィルムは不要な変化をもたらす高い相対湿度から保護されなくなります。露光済みのフィルムは湿度と温度の影響に弱いので、露光済みのフィルムはできるだけ早く現像した方がよいでしょう。
温度
フィルムは元のパッケージに入れておくか、カメラ、カートリッジ、マガジン、リールなどに装着したり、キャリングケースに入れるなどして直射日光から保護し、熱のこもる場所にはフィルムを放置しないようにしてください。密閉された自動車の中、停泊中の飛行機や船舶などでは、温度が軽く 60℃ (140゜F) 以上になることがあります。露光前か露光後のフィルムをこの状態の中に数時間置くだけで、フィルムの品質には大きな影響が出ます。現像
できる場所がすぐそばになければ、露光後のフィルムは -18℃ (O゜F)で保存してください。
ガスと放射線
フィルムを有害なガスや、先に述べた放射線から離しておいてください。
相対湿度
映画用フィルムを相対湿度の高い所で取り扱う際に、余分な湿気吸収は避けるほうが後で取り除くよりも簡単ですので、例えば撮影が1日かそれ以上延期される場合は途中まで使用したフィルムが入っているフィルムマガジンをカメラから取り外し、耐湿性の箱の中に保管しておいてください。この方法は撮影待ちの期間中、フィルムが湿気を吸収するのを防ぎます。露光後は直ちにフィルムを缶に入れ、湿気を露光時に吸収した分以上に増やさないため、再びテープで封をしてください。テープで封をした缶の中に入り込む湿気は、缶の中にフィルムが少量しか入っていない場合深刻な問題となります。このような場合、別に耐湿性の容器を用意し、その中にできるだけ多く他のフィルムを詰め、封をするとよいでしょう。
取り扱い
生フィルムを取り扱う際は、指紋がフィルムの部分的な感度変化を起さないように、常にエッジを持って取り扱ってください。フィルムを折り重ねたり、折り目を付けたりした場合も、部分的な感度変化を引き起こします。フィルムが触れる面は、フィルムのベースや乳剤面に傷がつくのを防ぐため、常にきれいにしておかなければなりません。
長期保存に関する更に詳しい記述に関しては、The Book of Film Care, Kodak コダック出版物 No.H-23 を参照してください。
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