特性曲線の主要な部分
フィルムのタイプにかかわらず、全ての特性曲線は、Dmin 、足部、直線部、肩部、そして Dmax の5 つの部分から成り立っています。
ネガフィルムの場合で露光が A 点(図9参照)よりも少なく、またはリバーサルフィルムの場合で露光が A 点よりも多ければ、フィルムは濃度の違いをほとんど記録できません。白黒フィルムの場合、曲線のこの一定した濃度域を、べース+カブリ と呼びます。カラーフィルムでは 最小濃度 または Dmin という言葉が使われます。
図 9 で示されている足部(A から B )とは、 露光の一定の変化(log H )と共に徐々に傾斜(またはグラディエント)が増加する、特性曲線の部分のことです。
直線部(B からC )は 図 10 のように、曲線の傾斜が変化しない、つまりこの場合の log 露光量の変化に対する濃度の変化が一定、または直線的である部分のことです。
肩部 (C からD )とは 図 11 のように、曲線の傾斜が減少する部分のことです。露光(log H )がこれ以上変化しても、フィルムの最大濃度(Dmax )に到達しているため、濃度は増加しません。
べース濃度 は定着処理後(銀が全て取り除かれた後)の未露光で未現像のネガ、ポジフィルムの濃度です。露光と現像処理からできる全濃度は、べース濃度から測定されます。リバーサルフィルムではそれに近い意味を持つ D-min という言葉で完全露光、完全現像処理済みの部分を表わします。結果としての濃度は、残留色素を含んだフィルムベースの濃度です。
カブリという言葉は、ネガ、ポジフィルムの未露光部分で現像処理中に形成される全濃度のことです。カブリは現像処理によって起こり、現像時間を延長したり、現像液の温度を上昇させたりすると増加します。使用される現像促進剤や現像液のpH 値もカブリの度合いに作用します。ある現像時間の全体のカブリの量は、べース濃度を現像処理済みの未露光フィルムの濃度から差し引くことで求められます。様々な長さの現像時間に対してそれらの値を求めると、現像に伴うカブリの増加度を示す時間カブリ曲線( 図 12 )ができます。
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| 図 9 |
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| 図 10 |
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| 図 11 |
特性曲線の意味
特性曲線はフィルム自体の性格を知るためだけでなく、結果の予測や、撮影中、あるいはプリント作業中に起こりうる問題の解決等、色々なことに役立てることができます。
感度とは、現像、露光の特定条件下で、乳剤自体が光に対して持つ感度のことです。フィルム感度は、そのフィルムの特性曲線から引き出された数字で表わされます。
コントラストとは、フィルムまたはプリントの明るさと暗さ(トーンと呼ばれる)の対比を指すもので、大まかには特性曲線の傾斜で表わされます。コントラストを表現するのに フラット 、 強い 、 軟らかい 、 硬い 等の形容詞が使われます。一般に特性曲線の傾斜がきついほど、コントラストは強くなります。ガンマ と アベレージグラディエント と言う言葉は写真像のコントラストを数字を使って示したものを指します。
ガンマとは特性曲線上の直線部の傾斜か、または横軸と直線によって型作られる角度のタンジェント(a )のことです。 図 5 では、角度のタンジェント(a )は濃度増加量をlog 露光量変化で割ることによって求められます。結果としてでてきた数値がガンマです。
ガンマは特性曲線の足部、または肩部のコントラスト特性は表わしません。撮影用ネガフィルムは情景のある部分、例えば影になるような部分を特性曲線の足部に記録します。ガンマはコントラストのこのような面を考慮していません。
アベレージグラディエントは、特性曲線上にある、特定のlog 露光量間隔を区分する 2 点間を結ぶ線の傾斜のことです。二つの点の位置は、曲線の直線部を越えた部分も含んでいます。このことから、アベレージグラディエントは、曲線の直線部分に表わされていない情景の部分のコントラスト特性を表すことができます。直線部を越えて延びているアベレージグラディエントの測定値は図 13 に示されています。
| 典型的な白黒フィルムの現像時間変化曲線 |
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図 12
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| アベレージグラディエント(平均勾配)測定 |
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| 図 13 |
特定の白黒フィルムが現像される際のガンマ、アベレージグラディエント値は、フィルム自体の性質や用途によって異なります。データシートには、白黒ネガ、ポジフィルム用にガンマ値の推奨値が示されています。
一連の現像時間に対する白黒ネガ、ポジフィルムの特性曲線が測定され、それぞれの曲線のガンマまたはアベレージグラディエントが現像時間に対して描かれた場合、現像の増加に伴うガンマまたはアベレージグラディエントの変化を示す曲線が得られます。データシートに提示されている推奨ガンマ値(または他のどのガンマでもよい)を得るために時間-ガンマ曲線( 図 14)を使って適性現像時間を見つけることもできます。
白黒リバーサルと、全てのカラーフィルムの現像処理管理には、ガンマ値は使われていません。
撮影用フィルムにフラッシュをあててコントラストを弱くする 方法は、全体のコントラストを弱くするために、現像処理前にフィルムを平均に露光するというテクニックのことです。そのテクニックはいくつかのカラーフィルムに使われており、実際には意図的にフィルムにカブリを生じさせることです。フラッシュ露光は被写体の撮影前かまたは撮影後に、カメラ内部かプリンター内部で行なわれます。必要な露光量と露光に使われる光の色は、要求された効果、フラッシュ露光が使われたポイント、メイン露光の被写体、フィルムの現像処理などによって違いますが、潜像退行による変化の可能性があるため、現像処理直前のフラッシュ露光がより理想的な方法です。
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| 図 14 |
図 15 |
この方法は、二つの異なったフィルムをつなぐ際に、両方のフィルムのコントラスト特性を近くするためによく使われます。 図 15 の理論上の特性曲線は、あるフィルムの特性曲線を、別のフィルムの特性曲線に近くするためにフラッシュ露光する際、何が起きるかを示したものです。図は二つのフィルムの理想的な合致を示すために単純化されています。実際の現場では、製作に使用される予定のフィルムを使ったテストによって決定されます。
映像製作では、特殊な効果を出したい場合、特定のシーンのオリジナルフィルムのコントラストを変えるためにフラッシュ露光 (クリエイティブフラッシュと呼ぶ )を使うことがあります。深く、濃い色から淡いパステルに変えたり、シャドウディテールを出したりするなどの場合です。このタイプのフラッシュ露光は "Creative Post-Flashing Technique for the The Long Goodbye," American Cinematographer Magazine, March 1973 で詳しく述べられています。
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