磁気と光学サウンド
サウンドは映画用プリントに次のいずれかの方法で記録されています。フィルムに塗布された酸化鉄の帯(ストライプ)に 磁気的 に記録されるか、または光学的光変調システムによって 光学的 に記録されるかです。
磁気サウンドトラックは、映画フィルムの両端に沿って塗布されている酸化鉄のストライプでできています。そしてサウンドは、このストライプが磁気録音ヘッドを通過し、塗布された酸化鉄を選択的に磁化することによって記録されます。酸化鉄溶液は、現像処理液の影響を受けないものが開発されたことから、現像前(プリストライプ)でも、現像後(ポストストライプ)でも塗布することができます。70mmと、ある種の35mmプリントは、特殊音響効果や、ステレオサウンドのための複数の磁気ストライプを持っているものがあります。
16mmとスーパー8ではサウンドストライプの他にその反対側のフィルムベースのエッジの近く(パーフォレーションとそのすぐ近くのエッジ)に同じ厚さで、より狭く塗布されているストライプがありますが、このストライプは普通は磁気録音には使われません。これは映写中や巻き戻し中に、フィルムがリールのフランジに絡み付いたり弛んだりしないよう、機械的にバランスを取るためのもので、バランスストライプと呼ばれるものです。
光学サウンドトラックは、映画用フィルムのエッジの近くにプリントされた、サウンド(音声、音楽、その他)トラックです。通常、光学サウンドトラックは、フィルムに画像がプリントされるのと同時にプリントされます。そのため、一本一本のプリントに、画像とは別作業で録音しなければならない磁気サウンドトラックとは違い、同時にデュープ作業をすることができるわけです。
光学サウンドを使おうとするフィルムプロデューサーは、大まかに編集したワークプリントやオリジナルフィルム・脚本・最終的な磁気録音テープをラボに送り、そこで制作意図に応じた編集やサウンドトラックを加える作業が行なわれます。オリジナルフィルム、または光学サウンドトラックを持ったプリンティングマスターから公開用のプリントが作られます。
光学サウンドプリントは、磁気ストライプを持ったオリジナルフィルム、またはオリジナルフィルムと磁気トラックが別々のものからも作ることができます。光学サウンドトラックの寿命はフィルムのそれと同じであり、フィルムのクリーニングや他の手入れにより、簡単に破損することはありませんし、また間違ってトラックを消去したりする危険性もありません。しかし、光学サウンドトラックの再生忠実度は、ホコリやスクラッチなどで低下します。また、光学サウンドトラックは一度フィルムにプリントされると、変更が不可能になります。
一方、磁気トラックはホコリや汚れによる歪みなどを受けにくく、スクラッチによる音質への影響はあまりありません。また磁気トラックの他の利点として、磁気トラックの持つ厚みがリールに巻かれたフィルムのべース側から乳剤面(画像)を持ち上げ、画像部分をフィルム同士の摩擦による破損や、乳剤面とべースの接着等から守るという点、また、より優れたハイファイサウンド(より広い周波数特性と、優れたS/ N比)を持っている点などがあげられます。
光学トラック
光学サウンドトラックネガは、記録された音の周波数と音量とともに変化する振幅と面積を露光することによって作られます。トラックそれ自体は、フィルムのエッジに沿った1本またはそれ以上の細くギザギザした白黒の模様のように見えます。可変面積型サウンドトラックから最良の音質を得ようとする場合、透明部分は可能なかぎり透明であり、黒い部分は800から1000nmの波長の濃度で、濃度それ自身は1.0と1.8の間でなければなりません。それ故に可変面積型サウンドトラックネガを作るためには、通常、ハイコントラストとなる乳剤と現像処理方法が使われます。
光学サウンドの基礎
サウンドの再生には、音波を電気信号に変換して記録することが必要です。この記録されたサウンドは再生の過程で電気信号を発し、スピーカーを通して音波に変換されます。光学サウンド再生では、プリントの実際の音の記録はフィルムのエッジにあるトラック上に銀か色素、または色素に銀を加えた画像によって行なわれます。
図54A と B、 C は、光学サウンドトラックを電気音響信号に変換させるコンポーネントを示したものです。電球からの光エネルギーは、レンズと絞りによって細い光束となり、その光束はフィルムのサウンドトラック部分を透過して受光素子に到達します。
 |
| 図 54A |
| 光学サウンド再生の概要 |
 |
 |
| 図 54B |
図 54C |
| サウンドトラックによる光の減衰 |
受光素子の反応 |
 |
 |
| 図 55 |
図 56 |
| アパーチャーを通して見たサウンドトラック |
|
フィルムが移動すると共に、サウンドトラックはサウンド用のエキサイターランプから受光素子に到達する光の量を変化・変調させます。
そして受光素子は光のエネルギーを受取り、それを電気エネルギーに変換します。受光素子によって起きた電流は、受光素子に到達した光の強さに比例します。
受光素子は、それぞれ異なった分光感度を持つ、様々な感光素子から作られています。ほとんどの 16mmと 35mm映写機には、主に赤外域に感度を持つ S1、またはシリコンタイプの受光素子が使われています。そのため、全ての 16mmと 35mmのサウンドトラックには赤外線を変調できるように銀や、やや性能は劣りますが、硫化銀が含まれています。色素のみでできたサウンドトラックは効果的に赤外線を変調することができませんので、結果的に S/ N比を著しく劣化させてしまいます。
フィルムがサウンド用アパーチャーを通過するに伴い、トラックの幅の変化が発生する信号のアンプリチュードを決め、変化の速さが信号の周波数を決定します。
可変面積型の録音にはいくつかの種類があります。ユニラテラル トラックは、トラックの透明部分と非透明部分を分離する縦線に直角に交わって発生する変調からできています。図56 のバイラテラル トラックは、トラックの縦の中央線で対称形となる変調を使っています。図56 のデュアルバイラテラル トラックは、2つのバイラテラルトラックが隣同士に並んでいるもので、マルチラテラル トラックは幾つかのバイラテラル トラックを持つものです。これらの中では、デュアルバイラテラル トラックが最も広く使われており、これはこのシステムが再生ヘッドでの、光学スリットへの不均一な照明から起こる信号の損失や音の歪みを最小限に抑えることができるためです。
光学サウンドトラックの再生
光学サウンドトラックの再生に影響を与えるものとしては、光源の分光エネルギー分布、サウンドトラック像の分光吸収特性、そして受光体の分光特性があげられます。光源には普通、スペクトルの赤と赤外域により多くのエネルギーを持つ、比較的低い色温度のタングステンランプが使われています。
ほとんどのカラーフィルムは多層構造であることから、サウンドトラック像に当てられる光の色はそのトレース特性に影響するため、普通は専用のフィルムが使われています。銀、そして銀と色素の混合されたサウンドトラックは、通常あらゆる映写機に適しており、ネガティブサウンドトラックからプリントされます。また硫化銀のサウンドトラック像は、性能はやや落ちますが、リバーサルカラーフィルム専用に作られたもので、ポジサウンドトラックのオリジナルからプリントされた反転像でできています。
|