映写
完成したフィルムが成功するか、または失敗するかは、そのフィルムをどう「観せるか」にかかっています。プリントが作られた後、スクリーンイメージのクオリティに対する最終的な責任は、プリントを取り扱う人と映写機にあります。この項では、新しく届いたプリントの点検の仕方、フィルムの損傷や摩滅の最も一般的な原因、ニュープリントのリュブリケーションの方法、そしてフィルムのクリーニング方法等が述べられています。
プリントの点検と取り扱い
自分の基準に合ったプリントを得ることは重要なことです。プリントを受け取った際、下記の指示に従って点検して下さい。
- 固く滑らかで、しっかりしたリールにするため、巻き戻しをするときには一定の力を保つ。
- 編集用の手袋をはめ、フィルムのエッジを持って、スプライス不良やダメージがないかどうか点検する。
- スプライスにセメントが使われていようと、テープが使われていようと、不良なスプライスは正しくスプライスし直す。
- 点検中に大きな切れ目や損傷が見つかった場合、代わりの新しいリールを要求する。
- フィルムの送り機構に帯電する静電気を防ぐため、適切な相対湿度(理想的には60%)を保つ手段を用意する。
摩滅や消耗によくある原因
プリントの耐久年数を延ばすため、上映中に起こりうる損傷の原因に充分注意する必要があります。以下にその最も一般的な原因を五つあげてみました。
過度な張力
映写機のフィルム送り機構の張力が強すぎた場合、映写ノイズとパーフォレーションの損傷が生じます。ラボでほどよくリュブリケートされたフィルムであれば、張力の発生源はゲート部分か、あるいは供給側と送り側(巻き取り側)のスプロケットにあります。
- トラップレールにゴミが詰まっていないか点検し、ゲートの張力を点検する。スクリーン画像が安定する程度の張力を持つよう、ゲート張力を調整する。
- スプロケットの「鳴き」を防止するため、映写機のリールスピンドルの張力を調整する。
- これらを点検しても原因が不明な場合は、35mmプリントの乳剤側のエッジのリュブリケーションが適度であるか調べる。まず、リュブリケーションゲート張力を全レンジにわたって変えてみる。もしこれで良くならないのであれば、エッジのリュブリケーションが不適当であると考えたほうがよい。16mmフィルムは、フィルム全体にリュブリケートされていなければならない。リュブリケーションの不適当なフィルムの乳剤面の摩擦係数は、ANSI PH1.47 Methods for Detecting the Degree of Lubrication on Processed Photographic Film by the Paper Clip Friction Test に説明してあるテスト方法に従って、適当なフィルムと比較してみます。係数が0.2 またはそれ以下であれば、リュブリケーションは満足のいくレベルにあるといえます。
映写機でのフィルムのアライメント調整
この問題はパーフォレーションのコーナーに損傷を与える原因となり、パーフォレーションのエッジの割れや裂け目を生じさせることになります。
- フィルムが供給側のスプロケットに入る部分と、巻き取り側のスプロケットを離れる部分が、正しくアライメントされている(並んでいる)かどうか調べる。
- 映写機のゲートでのアライメントが正しいかどうか調べる。
- プリントを使用する前に、損傷したパーフォレーションがないかどうかを点検する。(もし必要であれば新しいプリントをオーダーする)
エッジの折れ目 フィルムのエッジには以下のような原因で折れ目ができます。
- フィルムが映写機に正しくセットされていないため、パッドローラーとスプロケットによりフィルムに折れ目を付ける。
- 張力が強すぎる場合には、フィルムがローラーフランジや他の部分に巻き付いて折れ目が生じる。
スプロケットによる損傷 このタイプの損傷はよく 「スプロケットマーク」 と呼ばれますが、これは張力が低すぎる場合に、フィルムの一部分がスプロケットを離れてスプロケットの歯の上に乗り上げてしまうことが原因で起きます。
- スプライス部分がうまく合っているかどうかを調べ、スプライスし直す。
- フィルムの折り重なった損傷部分を点検し、必要があればその部分を修理するか、その部分またはリール全体を新しく取り替える。
- スプライシングテープがパーフォレーションを塞いでいないかどうか調べ、塞いでいる場合は必要な措置をとる。
- 映写機のスレッディングを調べ、調整する。
摩滅と汚れ これは、主に取り扱いの不注意、スレッディングの不良、機械類の手入れの不備がその原因となります。この種のフィルムの損傷は鑑賞者もすぐに気が付きます。以下にあげた諸点に留意すれば、摩滅と汚れの問題を最小限にすることができます。
- 映写室は清掃されているか。特に床と巻き戻し用の台はきれいになっているか。
- フィルムは正しくローラーフランジの間にのっているか。
- プリントにオイルや汚れが付いていないか。
- フィルムを取り扱う場所では喫煙や飲食(汚れの原因となることで悪名高い)が禁止されているか。
- 巻き戻しの際に、ストップしたり巻き戻し始めたりする時にフィルムがスリップしないような充分な張力で巻き戻しを行なっているか。(フィルムのスリップが摩滅の大きな原因になっている)
- 清潔で糸屑のでない手袋を使い、巻き戻しや点検の際に正しいフィルムの持ち方をしているか。
- 緩んだリールを堅く巻くために、フィルムの端を引っ張るようなことはしていないか。(これは摩滅のもうひとつの原因である)
映画プリントのクリーニング
コダック映画用フィルムクリーナー(リュブリカント入り)のような液を含ませた柔らかい布を使ってプリントをクリーニングし、リュブリケーションを行ないます。最初の上映の時にフィルムが安定していなかったり映写ノイズが生じる場合は、ラボでリュブリケーションが行なわれなかった可能性があります。このような場合はノイズを抑えるだけでなく、損傷をくいとめるためにもフィルムにリュブリケーションをすべきです。
次に挙げる種類の布がフィルムのクリーニングに適しています。高級なネル、薄いものか中くらいの厚さのレーヨン、またはナイロン製の布、薄い綿の布などです。これらの布は白く、染色されていないものが良く、堅くするための添加剤などが使われたものは避けたほうがよいでしょう。添加剤の有無が不明の場合には、使用前に一度洗濯するとよいでしょう。
クリーニングするフィルムをリワインダーに据え付け、フィルムの端を巻き込み用リールに巻き込みます。フィルムを巻き戻す時、クリーナーとリュブリカントを含ませた二枚の布の間を引き通すようにします。軽く一定の力で布を押えれば、布とフィルムの表面が常にうまく接触します。この作業は、フィルムが巻き取りリールに巻かれる前にクリーナーが完全に蒸発するよう、ゆっくり行なわなくてはなりません。
溶剤は非常に速く蒸発するため、布は頻繁に溶剤に浸したほうがよいでしょう。布に集まった挨でフィルムが傷付くのを防ぐため、布を何度も折り直してきれいな部分だけがフィルム面に接触するようにします。フィルムにリュブリカントの跡が残ってしまった場合には、映写前に柔らかい布でぬぐい取って下さい。
クリーニングとリュブリケーション作業は、リール全体を連続的に滑らかに巻き戻しながら行なってください。布を折り直し、クリーナーを含ませるために中断しなければならない場合にはクリーニングの作業を再開する前にフィルムを 1フィートほど巻き戻してからスタートして下さい。

* コダック映画用フィルムクリーナー(リュブリカント入り)は四塩化炭素を含有していませんが、適切な換気のある場所で使うか、または換気扇を使用して下さい。クリーナーの種類にかかわらず、容器に書かれてある指示には従って下さい。
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