一時的なサイズ変化
湿気 : 空気の相対湿度(RH )はフィルムの湿気含有量に影響を与える大きな要素なので、フィルムの一時的な収縮、膨張を大きく左右します(一定の温度を保っていると仮定)。ネガフィルムの湿度係数はポジプリントフィルムよりわずかに高くなっています。上記の表に示されている係数は15%から50%RH の範囲の平均で、この範囲ではフィルムサイズと相対湿度間の関係は、ほぼ直線です。ESTAR べースフィルムでは、この係数は低い湿度域で大きく、高い湿度域で小さくなります。相対湿度レベルが高いところから下がってきた
場合、セルローストリアセテートベースを使ったフィルムの実際の寸法の変化は、相対湿度レベルが上がってきた場合に比べてやや大きくなります。ESTAR べースフィルムではそれと逆のことが起こり、フィルムが低い湿度に調節されていた場合には、高い湿度に調節された場合に比べてその寸法の変化がやや大きくなります。
温度 : 写真用フィルムは、フィルムの温度係数に直接かかわっており、熱と共に膨張し、寒気と共に収縮します。現在のコダックおよびイーストマン映画用フィルムの温度係数は、「コダックおよびイーストマン映画用フィルムのおおよその寸法変化特性」表に記載されています。
一時的変化の割合 : 周囲の空気の相対湿度の変化にともない、1 本の短いフィルムの場合、湿度による急速なサイズ変化は最初の10 分間に起こり、それは約1 時間ほど続きます。フィルムがロールであれば、その湿度の浸透に長い時間を要する為、数週間かかります。温度変化の場合では、例えば一本のフィルムが熱い金属の表面に接触した場合、一瞬にしてサイズの変化が起こりますが、それがロールフィルムであれば、数時間を要します。
現像中の膨張率 : 全ての映画用フィルムは現像中に膨張し、乾燥中に収縮します。トリアセテートの膨張率は始めは急速で、現像液の温度、時間、フィルムの張力によって変わってきます。アセテートフィルムは長さ方向よりも幅方向に対して大きく膨張し、ネガフィルムはプリントフィルムよりも膨張の度合いが高くなっています。ESTAR べースのフィルムの変化はこれに比べるとずっと少量です。乾燥による最終的なフィルム寸法に対する効果は、恒久的サイズ変化の項に記載されています。
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膨張率 % |
| フィルム タイプ |
ベース |
長さ |
幅 |
| ネガティブ |
トリアセテート |
0.4 |
0.6 |
| ポジティブ (白黒とカラー) |
トリアセテート |
0.3 |
0.5 |
| リバーサル(カラー) |
アセテートプロピオネート |
0.6 |
0.8 |
| ポジティブ(カラー) |
エスター |
0.05 |
0.05 |
現像中の膨張率

恒久的サイズ変化
恒久的サイズ変化とは、生フィルムの収縮、現像処理によるサイズ変化、現像済みフィルムの収縮を合わせたものです。
生フィルムの収縮 : フィルム生産工程が終わってすぐ、未露光の映画用フィルムはテープで封をされた缶の中に収められます。フィルムが缶から出されるまでは、トリアセテートからの有機溶剤の損失は極めて少量です。長さ方向の収縮は、35mm フィルムの1000 フィート缶で最初の6 ヵ月間に0.5%以上になることはほとんどありません。ESTAR べースフィルムもテープで封をされた缶内にある間は0.2%以上収縮することはありません。
現像処理による収縮 : トリアセテートベースフィルムの現像処理による実質的な影響は、通常はフィルムが物理的に引き伸ばされたりしないかぎり、わずかに収縮 (「コダックおよびイーストマン映画用フィルムのおおよその寸法変化特性」表を参照)する程度です。現像機の中には、濡れたフィルム(特に16mm フィルム)を引き伸ばすのに十分な張力を持っているものがあります。結果として、現像処理による実質的な収縮はより小さくなり、またわずかではありますが、恒久的な伸びが起こる場合もあります。その優れた強度と耐水性により、ESTAR べースフィルムの全体的なサイズ変化量は非常に小さいものです。
経年による収縮 : 映画用ネガ、インターネガ、カラーオリジナル等のフィルムにとっては、経年収縮率が低く、長い年月にわたる保存の後でも満足できるプリントや、またはデュープを作成することができるということは非常に重要な要素です。映写を目的とした映画用ポジフィルムでは、収縮は映写自体にはあまり影響しないため、特に問題ではありません。
経年変化による収縮率は、フィルムの保存状態や使用状況によって異なります。収縮は高温によって促進され、トリアセテートの場合ではフィルムベースからの有機溶剤の分散を助長する高い相対湿度によっても促進されます。
現在の映画用フィルムの経年により予想される収縮が、「コダックおよびイーストマン映画用フィルムのおおよその寸法変化特性」表 に示されています。1954 年6 月以降に製造されたフィルムの現像済みネガの場合では、最初の2 年間で約 0.2% 収縮し、その後はほとんど収縮しませんでした。この非常に小さな変化率は、1954 年以前のネガ感材と比較して大きな進歩であり、長期間にわたる保存の後でも良いプリントを作ることを可能にしました。
トリアセテートベースで作られたリリースプリントの長さ方向の収縮率は、最初の2 年間で35mm フィルムの場合、約0.1 から0.3%程度で、16mm フィルムの場合で約0.1 から0.4%程度です。 「コダックおよびイーストマン映画用フィルムのおおよその寸法変化特性」表に示されているように、期間が長くなればなるほど高い率の収縮が起こります。ESTAR べースのフィルムの収縮率が0.04%を越えることはまずありません。
映画用フィルムの経年による収縮は恒久的なサイズ変化ですが、湿度と熱による影響がここに示されたサイズ変化率を増加させることもあれば、減退させることもあります。
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