フィルムベースとは感光乳剤を塗布してあるプラスチック製の支持体のことです。フィルムベースとしての必要条件は、光学的透過性があること、光学的欠陥(光の屈折)がないこと、化学的に安定していること、写真的な変化を起こさないこと、そして湿気や現像用薬品類に抵抗力があることなどがあげられます。機械的強度、引き裂きに対する抵抗力、柔軟性、平面的安定性、そして物理的な歪みのないことなども、現像処理、プリント、映写等においては重要な要素です。
現在、2 種類のフィルムベースが使われています。セルローストリアセテート エステルと、ESTAR (エスター)べースとして知られる合成ポリエステルポリマーです。セルロース トリアセテートのフィルムベースは、セルロース トリアセテートに有機溶剤と可塑剤を混ぜて作られます。最近のコダックおよびイーストマン映画用フィルムは、セルロース トリアセテートベースに塗布されています。
ESTAR べース、つまりポリエチレン テレフタレート ポリエステルは強度、化学的安定性、強固性、引き裂きに対する抵抗性、柔軟性、平面的安定性に優れているという特徴を持つことから、いくつかのコダックおよびイーストマン映画用フィルム(ほとんどはインターメディエイトとプリントフィルム)に使われています。優れた強度をつESTAR べースは、保管に場所を取らない薄いフィルムの生産を可能にしました。ESTAR べースのフィルムと、他のポリエステルベースのフィルムは、通常入手できるフィルムセメント(接着剤)では、うまくスプライス(接合)できません。これらのフィルムはテープスプライサーを使うか、超音波または熱伝導でフィルムの最後尾を溶かし、融合させる方法を使ってスプライスします。
ハレーション防止層
フィルムの乳剤を通過した光は、べースと乳剤の接合面で反射し、再び乳剤層に戻ってくることがあります。その結果として、ハレーション(像の鮮明度を落としたり、明るい物体の周りの光が散乱し、反射光による2 度目の露光がされること)が起こります( 図 27 を参照)。 フィルムベース内、またはフィルムベース上に塗布される暗色層は、この反射光を吸収し、ハレーションを最小限に食い止めます。そのため、これはハレーション防止層と呼ばれます。ハレーションを最小限にとどめるため、通常3 種類の方法が使われます。
レムジェット : フィルムベースの背面にある、黒色に塗られた非ゼラチン層がハレーション防止と帯電防止の役目を果たしています。この層は現像中に取り除かれます。
ハレーション防止用の下引き層 : いくつかの薄い乳剤層を持ったフィルムには、乳剤層のすぐ下にあり、銀か、または着色されたゼラチンが使われています。この層に使われている色素は現像中に脱色されます。この種の層は、高解像力を持った乳剤のハレーション防止に特に効果的です。この種類のハレーション防止層が使われた場合、フィルムベースの背面に帯電防止、またはカール防止層が塗布されることがあります。
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| 図 27 |
| 光の反射 |
着色されたフィルムベース : フィルムベース、特にポリエステルのものは、フィルムの端に当たった光を透過させたり、または光を通り抜けさせたりします。この光はべース中を移動し、乳剤層にカブリを生じさせます(図 27)。 フィルムベースの中には、ハレーションと光の反射の両方を少なくするため、中性灰色濃度の色素が混合されているものがあります。この色素濃度は、わずかに検出できる程度から約0.2 位までと、様々です。これよりもっと高い濃度のものが、ハレーション防止のため、セルロースベースの白黒ネガフイルムには用いられています。カブリと違い、この灰色色素は像の濃度範囲を狭くしたりはしません。というのは、それがニュートラルデンシテイ(ND )フィルターと同様に全域にわたって濃度を加えるからです。よって、これが写真の質に与える影響は無視できる程度であるといえます。
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