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コダック スチューデント フィルムメーカーズ ハンドブック

ビジネス・ツールとしての映画

「企業にとって、映像は身近な存在です。彼らはコマーシャルを数多く作りますので、映像媒体には常日頃から親しんでいます。だからこそ、映画を作ろうと思うのなら教育基金なんかあてにしないことです。」

メッセージを伝えるためにどうメディアを利用するか-映画を作るためには何をするか-これを知るだけではうまく成功しません。まずあなたの創作能力をフルに発揮できるチャンスをつかむことです。そのためには、映画を欲している人たちと どう心を通わせるか を学ぶ必要があります。これこそ映画人のマーケティングです。

まず、あなたは何を提案すべきか考えて下さい。しかしそれは映画でなくてもいいのです。提案すべきはクライアントの悩みを解決することで、それをあなたは映画でやってのけようということです。これこそ劇場公開向けではない映像製作の本質なのです。

これらのクライアントとしては、企業、教育機関、法人組織、公共団体、政府機関などがあります。どのクライアントにせよ、そこに映画を作ろうとする動機や目的が必ずあるはずです。

しかし映画でそれを行なうためには、根本的に三つのコミュニケーションの問題があります。これは技量と知識、動機づけ、情報伝達などです。モノを伝える上で問題となるのは、ほぼこの三つの組み合わせにある場合が多いのです。

技量と知識の領域では、仕事を行なうために必要な理解が不足しているという状況がままあります。人間はある製品を作ろうと思ったら、まず訓練を受けなければなりませんし、失敗しないよう指導を受ける必要もあります。製品の販売についても同様です。そのためにはそれらの知識が多いほど、その人は有能だということになります。

やる気を起こさせる動機づけでの問題点は、まれに仕事をしたがらない人間がいるということです。やる気のある人間ほど生産的で、問題の解決に対して積極的だということは当然ですが、やる気の問題では、これは将来のクライアントとの関係にも影響を及ぼします。それを解決するには、結局はより効果的な広告宣伝と販売促進を打つことにかっています。

また情報伝達の問題は、往々にして パブリック リレーションズ(広報) の問題にまで及んでいることがあります。企業とその製品が人々の目に多く触れることは企業にとって非常に重要で、そこで得られた信用は製品を販売する上では大きな力となるからです。この情報伝達の問題を解決する必要性に気がついた企業は、視聴者の心にもっと近づくことでその解決をはかろうと、そのためにお金を使います。

要するに、ビジネスとは“お金を儲けるために、お金を使う”のだということです。頭のいい実業家なら、映画が問題を解決してくれる手だてになりそうだと気がついたら、ためらうことなく映画製作にお金を使います。あなたのやることは、映画でそれを助けることのできる部分がどこにあるのかを探り出すことにあります。

隠れたクライアントとは

「企業や大学、教会、病院などの組織では、その内部に意思伝達上の多くの問題を抱えています。従業員の教育や行政からの規制や規則に対しての社内告知、やる気のおこさせ方、従業員同士に団体のメンバーとしてお互いに意識をもたせるとことなど。これらはどんな種類の団体にも共通した問題です。」

どの企業も隠れたクライアントなのです。まず、近所の企業リストを作ってみましょう。電話帳、商工会議所のリスト、 売り上げ上位企業のリスト などが使えます。有望な企業はすぐ見つかるはずです。これらの企業が過去に映画製作にお金を使ったことがある場合は、おそらく他の多くの映画製作者がすでに彼らを訪問したはずです。しかしあなたが再訪問して何かを提案したとしても、あなたに失うものは何も無いはずです。その効果はすぐには出ないとしても、やってみなければ何も始まりません。

「業界誌を見れば、現在の広告業界で何が起こっているか、どんな映画が作られているか、クライアントは誰か、などすぐわかります。また業界では毎年、年次報告を発表しビジネス上の問題点を取り上げます。一般紙のビジネス欄も、トレンドをつかむ上では大いに役に立ちます。」

各企業には、映画製作を提案するために会うべき人間が何人もいるかも知れません。しかしコミュニケーションの必要性を考えれば、社内の構造は簡単に理解できるはずです。取っ掛かりとしては、企業の代表番号に電話をするか受付に行って、こうたずねて下さい。
  「社員教育の担当責任者とお会いできるでしょうか?」
  「販売促進のご担当はどなたでしょうか?」
  「コーポレート・リレーションの担当者とお話ししたいのですが」・・・などなど。しばらく時間がかかるかも知れませんが、あなたの能力を提供することのできる相手をこの企業で探しているのだということに相手が気付けば、助けてくれる人もでてくるはずです。

企業によっては、複数の部署で映画を必要とするところがあります。その部署名が大きく異なっていても、たとえば広告宣伝部、販売促進部、マーケティング部、広報部、メディア・サービス部、AV サービス部、人事部などがあり、大企業の場合はさらに細かくいくつかの課に分かれている場合もあります。しかしその目的は全く同じです。コミュニケーションの手段として映画を必要としているのです。これらの部署の一つあるいはいくつかで、仕事が生まれる可能性があります。企業の担当者はあなたと直接取り引きをするか、広告代理店などさらに上位の組織を通すように答えるかもしれません。一つの見込みがあれば、同じ企業で二つ以上の可能性があるかも知れません。

「企業内の個人に接触するためには、まずその企業の組織形態を調べて、映画を必要としていると感じられる部署を選び出すことから始まります。」

潜在的クライアントを獲得する第二の方法は、面会する前にあなたがつかんだその企業の問題解決策をこちらから提案することです。これは相当量の下調べが必要となりますが、業界誌、年次報告書、新聞のビジネス欄などが参考になるはずです。提案できるアイデアが浮かぶかも知れません。アイデアが出たら、それについて手短かに話を聞いてくれる人がでてくるまで、数ヵ所に電話をしてみて下さい。興味を示してくれる人がでたら、完全な提案書を作成し、それを送るか面談のアポを取るように努力しましょう。

また企業の担当者が特定の提案に興味がない場合でも、それを必要としている他の部署や団体などを教えてくれるかも知れません。

また、どのクライアントにも予算を大量に消化するタイミング、いわゆる決算時期というものがあります。例えば、繊維産業であれば春と秋の年二回、新製品の投入時期がそれです。自動車メーカーは春と秋に新車を発表し、それぞれ夏と冬のレジャーをにらんで販売攻勢をかけます。予算はこうした販売時期の前に多く消化されます。ですからあなたのマーケティング努力は販売時期ではなくて、予算の消化時期に焦点を合わせる必要があります。予算の関係で今すぐ依頼はなくても、いつか依頼がくるかも知れません。あくまでも将来に向けて努力して下さい。

「あなたが学ばなくてはならないのは、企業の予算編成の仕組みです。企業の予算は特定の承認サイクルがあり、予算を使える時期とそうでない時期があります。これを無視することは、水の無いプールに頭から飛び込むようなものです。」

潜在的クライアントに面会する場合は、その人になぜ会いたがっているのか、これを自分にも相手にもはっきりさせることが重要です。まず自己紹介をして、作品のサンプルを見せるかも知れません。しかしより大切なのは、提案しようとしているものを相手によく理解してもらえること、そのための綿密な準備です。特にあなたとしては、その企業にどんなコミュニケーションの必要性があるのか、これらの必要性が現在どのように解決されているのか、またその相手は、あなたの提案を採用する権限や影響力を持っているのか、などを知る必要があります。

誰かに初めて会うということは、うまくすればその付き合いが長くなる可能性をも秘めています。あなたが今こそやらなければならないこと、それは見込み客が何を欲しがっているかをつかむことです。



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