フィルムを知る
デザイン、製造メーカー、実際の撮影、映写、そして保管条件等の全てがフィルムの性能とその選択に影響を及ぼします。本書ではその選択にあたっての注意事項が以下のページで述べられています。最初に、なぜ現場でのテストが好ましいのかをご説明します。いくつかのシーンに使用予定の照明を使ったフィルムテストで好ましい結果が得られなかったとします。その場合、フィルターの使用が改善策となるのでしょうか、照明を変えればいいのでしょうか、またはこれらのシーンには別のフィルムの方が適しているのでしょうか。このような事柄を考慮してください。
2番目に、フィルターの使用について述べます。ここでは映像製作者が出会ういろいろな状況に対応するため、フィルターの広い範囲にわたる使用法が述べられています。
3番目に、録音された音を完成プリントの画像に加える過程をご説明します。
最後の二つの項では、注意深く製作された完成フィルムの手入れの仕方を説明しています。
テスト露光
どんな製作にも、それぞれ独特な条件と要求がつきものです。仕事内容をよく理解することと、データシートの情報を注意深く評価することで、映像製作者はほとんどの撮影条件に対し、選んだフィルムがどう反応するかを理解できるはずです。テストでは、残る不確定要素を小さくし、特別な状況においてのそのフィルムの反応の確認を行ないます。テスト露光を価値あるものにする変動量について、またそのような露光の判断技術がこの項の主題です。実際面では見落とされがちですが、テストはプロの仕事の一つです。できる限り最良な結果を得るためには、映像製作者は、製作中の参考のためと、経験とデータシートの情報に基づいて選択したフィルムの再認識のためにテストをするべきです。
以下に、カラーフィルムの実際的な、または視覚的な感度、コントラスト、そしてカラーバランスの変化を引き起こす主な原因を、時間的に起こりそうな順番で挙げました。これらの原因を理解しなければ、映像の仕上がりを誤解することになるか、考え違いをすることになります。
- 感光乳剤製造時に出る製品間のわずかなバラツキ。
- 露光前の不適当な保管状態。
- 不適当、あるいは色の質が混合された照明。
- 照度と、露光時間の変化によるフィルム感度の違い。
- 使用される機材間にある違い(レンズ、シャッター、露光計等)。
- フィルムの露光から現像するまでの不適当な保管状態。
- 標準指定外の現像条件。
- 標準指定外の映写条件。
- 人それぞれが持つ判断の仕方の違い。
1番目以外は、製造管理の対象範囲を越えており、データシート上からは正確に予測することができません。それに加え、実際に使用している上での様々な条件は、製造者の許容範囲をはるかに越えることが多いのです。これらが、感度とカラーバランスが重要視される際には常に露光テストをすべきであるということの基本的な理由です。現像後に直接映写されるリバーサル感材では、濃度やカラーバランスをプリント段階で調整することができないため、更にテスト露光の必要性が強くなります。
プロの方々はほとんど皆、感光材料が生ものであることを知っており、露光の前後にかかわらず、フィルム(特にカラー)を極端な熱や湿気にさらすことを避けるように注意を払っています。その他にリストアップされている要素もあまり知られていないかもしれませんが同様に重要です。フィルムを選択するときや予期せぬ結果を分析しようとする場合、どの要素も見落とすことはできません。
二つ以上の原因が、同時に結果に影響することがあります。多くの場合その効果は積み重なるもので、事前に適切な対応策を施さない限り、これらの小さな変化が組み合わさって、明らかに大きな結果を残してしまいます。実際に使用される条件下で行なわれるテストだけが、これに対応する方法です。
参考のために
1/3ストップ、時にはそれ以上の感度の変化は、白黒フィルムが映写される場合、普通気付かないまま過ごしてしまいます。これに対して、一つ一つの乳剤層の性能が、他の二つの乳剤層との相互関係で評価されるカラーフィルムでは、一つの乳剤の相対感度の小さな変化ですら、使用者にははっきりわかります。フィルム乳剤層の厚さは、製造時の不確定要素で、カラーフィルム製造に保たれる技術的精度を示す良い材料です。テストによると、各乳剤層の厚さの変化は4%から5%の間に管理されなければなりません。これより少しでも大きな変化は、それだけでカラーバランス許容値を使い切ってしまいます。
一般的なカラー乳剤は、厚さがわずか1万分の3インチであることから、1500万分の1インチの変化のみが許容されます。そしてこれ程の精度が、薄く柔らかなベースに暗闇の中で連綿と塗布される中で保たれるのです。
コダックフィルムの製造には、最高の均一性を保つために最大限の努力が払われています。しかしわずかな許容値の中でも、小さな変化があるのを避けることはできません。もちろん、同じ乳剤番号のフィルム間では変化量は最少です。どちらにせよ、製造者のデータに加えて、実際の製作状況下でもテストデータを得ることが望ましいでしょう。
コダック社では、製造工程の標準化は、多方面にわたるテストと品質管理計画で補足されています。生産目標の狭い許容範囲に合格した製品だけが、製造工場から出荷されます。
実際にテストされたセンシトメトリー寛容度は、感度、カブリ、コントラスト、カラーコントラストのマッチング、そして最大濃度を含みます。製品テストは普通の室温で行なわれ、タングステンフィルムの場合にはタングステンランプと同じ色質(3200または3400K)の光源が、昼光用フィルムの場合には、平均太陽光とスカイライトを合わせた光源(5500K)が使われます。これらはフィルムの主な用途の中で、一般的であると思われる時間で露光されています。この作業におけるフィルムは指定現像に従って現像されます。カール、パーフォレーションピッチ、揺れ、引っ張り強度、傷の無いこと等、物理的特性も注意深く管理されています。
イーストマン と コダック エクタクローム フィルムのカラーバランスにおける製造許容範囲は、提示された使用状況下でのテスト結果ですが、カメラ露光のCC10フィルターで矯正できる範囲内にとどまります。ネガフィルムの場合、正常なカラーバランスの許容範囲は、プリント過程で簡単に調整できる範囲内です。
注意深いシネマトグラファーは、新しいバッチのフィルムを使う際、残りの製作に使われるフィルターや露光の、実際の撮影テストをすべきです。
未知の照明でのロケーション
映像製作者は、カラーフィルムが特定の色質の露光に合わせて製造されていることをよく知っています。カラーネガフィルムは、プリント中にカラーバランスを調節することができるため、非常に広いラチチュードを持っています。リバーサル感材ですらプリントに使われる場合は、プリント段階を持つことで幾分かのラチチュードを持ちます。しかし、リバーサル感材が プリントされないものであれば、そのフィルムのカラーバランスとは違う色質の光
源を使う場合、補正しなければなりません。「正しい」光であっても、それが光源から被写体、被写体からフィルムに到達するまでには多少変化しているかも知れません。変色、または汚れたレフ板や色の付いたレンズは色質を変化させ、タングステンや蛍光灯の色質は、古くなったり電圧の変動によって変化します。様々に混ざり合った光源からの照明も色の出方を変えてしまいます。
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