全てのカメラフィルムに使えるフィルター
偏光フィルター
偏光フィルター(偏光スクリーンとも言われます)は、ガラス、水面、磨かれた木等の表面から反射を取り除くためと、空の輝度を調節するために使われます。反射を抑えることにより、偏光フィルターは色の濃度を増加させます。空の輝度をコントロールするために偏光フィルターを使うことは、カラーフィルターを使う場合に対していくつかの利点があります。(1)前景にある物体の色合いが変わらない。(2)偏光フィルターの効果はビューファインダーを覗くか(レフレックスタイプのビューファインダーを持つカメラ)、フィルターをカメラと同じ角度で手持ちで見るだけで判断することができる。(3)偏光フィルターが独立して空の輝度をコントロールし、さらに前景にある物体の色合いをコントロールするために、同時に違うフィルターを使うことができる。
偏光効果が現われる部分は、太陽の位置との関係で変化し、太陽から90度の角度で最も強く現われます。
以下に空が思ったよりも明るく写る理由を挙げました。
- 霧のかかった空は、晴れた青空のように色が濃くはなりません。 偏光フィルターを使って、霞がかかった空を暗くすることはできません。
- 空はほとんどの場合、水平線でほぼ白、天頂に行くに従って濃い青になります。従って、水平線でのフィルター効果は小さく、カメラを上に向けるに伴い、その効果は大きくなります。
- 太陽の近くの空はその周りの空に比べて青くないので、フィルターの影響をあまり受けません。
偏光フィルターを使って撮影を始める時、このフィルターが2.5のフィルターファクター(フィルター倍数)を持っていることを忘れてはいけません(露光を1 と1/3 絞り分増加する)。 このファクターは、偏光スクリーンがどの位置に回されていようと不変です。 この露光量の増加に加え、光線の具合によっては、必要に応じて露光の増加も行なわなくてはなりません。例えば、暗い空の効果を得るには、側面か頭上から光が当たっていなければな
らず、偏光フィルターファクターに必要な、1 と1/3絞りの増加に加え、更に約1/2絞り増加しなければなりません。
被写体から反射を取り除くために偏光フィルターを使う場合、反射は物体を実際よりも明るく見せるため、1/2絞り余分に露光を加えてください。図50を参照。
 |
| 図 50 |
偏光フィルターは非金属面から反射を
取り除くことができます。 |
中性濃度フィルター(NDフィルター)
コダックラッテン NDフィルター No.96 などのようなNDフィルターは、撮影場面の持つ色合いに影響を与えることなく、フィルムに到達する光を弱くします。NDフィルターを使うことで、高感度フィルムでも、レンズを絞り込まずに明るい太陽光の下で撮影することができます。白黒映画の撮影では、レンズの絞りを開いて被写界深度を浅くするため、 コダック ラッテン ゼラチンフィルター No.3N5 と 8N5 が使われます。これらのフィルターは0.5の中性濃度と、ラッテン ゼラチンフィルターNo.3 と No.8 の持つ、青と紫外線に対する補整能力を合わせ持っています。カラー映画の撮影では、色温度を5500K(昼光)から3200K(プロフェッショナルタングステン灯)に変え、また同時に 0.3 と 0.6 の中性濃度を得るために、 コダック ラッテン ゼラチンフィルターNo.85BN3 と 85BN6 などのような複合フィルターを使うことができます。0.3 のNDフィルターは露出を1絞り分切り詰めるため、これらのフィルターを使う際には、それぞれ 0.3 では 1絞りと、0.6では 2絞り分多く露光を加えてください。
| コダック ラッテン ND フィルター No. 96 |
ニュートラル
デンシティー |
透過率 |
フィルター
ファクター |
露光増加
(絞り) |
| 0.1 |
80 |
1 1/4 |
1/3 |
| 0.2 |
63 |
1 1/2 |
2/3 |
| 0.3 |
50 |
2 |
1 |
| 0.4 |
40 |
2 1/2 |
1 1/3 |
| 0.5 |
32 |
3 |
1 2/3 |
| 0.6 |
25 |
4 |
2 |
| 0.7 |
20 |
5 |
2 1/3 |
| 0.8 |
16 |
6 |
2 2/3 |
| 0.9 |
13 |
8 |
3 |
| 1.0 |
10 |
10 |
3 1/3 |
| 2.0 |
1 |
100 |
6 2/3 |
| 3.0 |
0.1 |
1,000 |
10 |
| 4.0 |
0.01 |
10,000 |
13 1/3 |
白黒フィルム用フィルター
コダック ラッテン ゼラチンフィルターは、白黒フィルムでは、多くの目的のため、広い範囲で使われています。例えば、空の雲を強調したり、水面や青空の明るさを落としたり、遠景を撮影する際に霞を取り除いたり、色の付いた物体同士のトーンコントラストを強くしたり等、また夜景を作り出したりするような特殊効果にも使われたりします。
白黒撮影に使われるフィルターは、大きく3つのタイプに分かれます。 (1) 補正フィルター は露光される光の色質を変え、フィルムが全ての色を、肉眼で見るのと大体同じ明るさに記録できるようにします。 (2) コントラストフィルター は、ほとんど同じ濃度の灰色として記録されるような二つの色の明るさを変え、写真ではっきりと違う明るさに見せてくれます。 (3) ヘイズフィルター は空中に浮遊する塵やゴミ、霞などの影響を少なくします。
補正フィルター
ほとんどのパンクロマチック乳剤は、紫外線と青の光線に高い感度を示します。この感度は肉眼の分光感度とは異なるため、青や、またはバイオレットの被写体は 露光オーバー になり気味で、最終プリントでは明るすぎてしまいます。例えばロケ撮影で、空と雲のコントラストが不足して見えるような場合に補正フィルターがよく使われます。赤のスペクトルでは、ある種の高感度パンクロマチックフィルムは赤に強い感度を持っているために補正されない限り赤の被写体の色合いが正しく再現されない傾向があります。特殊効果を得るために必要以上の補正を計画的に行なうこともあります。
フィルター無しで植物の葉を撮影すると、白黒フィルムでは思ったよりも幾らか暗く写ります。これを防ぎ、植物の葉を適度な灰色に撮る為には、イエローかまたはイエローグリーンのフィルターを使って、不要な青と赤の光を吸収させます。
このことは一見矛盾しているように思えるかも知れません。もしフィルターが光を取り去るのであれば、ネガの濃度は薄く、プリントは黒っぽくなるはずです。それではどうやってフィルターは植物の葉を明るくするのでしょうか。実際には、フィルターはそれが吸収する光の色合いをプリント上で濃くしているのであり、透過した光は相対的にそれに比べて明るく見えるのです。
このことは、ネガが正しくプリントされた場合はっきりとわかります。
コントラストフィルター
コントラストフィルターとは、白黒フィルムで撮影するとほとんど同じ濃さの灰色になってしまうような、二つの色のコントラストを変えるためのフィルターです。次に挙げるガイドラインは、コントラストフィルターを選ぶ際に役に立つでしょう。フィルターはそれ自体が持つ色を透過し、白黒のプリントではその色を白っぽく写します。色を暗くするには、その色を吸収するフィルターを使います。もし、ゼラニウムの花の赤を透過し、葉の緑を吸収するNo.25赤フィルターを使うのであれば、プリントではゼラニウムは明るく見え、葉は暗く見えます。普通、人は花を葉よりも明るいと考えることから、このプリントは自然に見えるでしょう。しかし、ゼラニウムの赤を吸収し、葉の緑を透過する No.58 グリーンフィルターを使った場合は、暗い花と明るい葉が写るという全く逆の結果になってしまいます。コントラストフィルターを使う際にフィルムをアンダー露光し、昼光の中で夜のような効果を出すことができます。それには コダック ラッテン フィルター No.23A、25、29、72B のようなオレンジと赤フィルターを使うとよいでしょう。
図51 に示されているカラーフィルターサークルは、ほとんどの色の灰色の濃淡を明るくしたり濃くしたりする際に、どのフィルターを使うかを決めるときに役立ちます。例えば、No.58 フィルターは緑色で、緑、イエロー、青緑の灰色濃度を明るくし、オレンジ、マゼンタ、赤の濃度を濃くします。タングステン用のフィルターファクターと、昼光用のそれとが違うことが多いのは、両者を比較するとタングステン灯は赤の光を多く含み、昼光は青の光を多く含んでいるからです。
ヘイズフィルター
空中の塵や霞などの影響は、青と紫外線を取り除くことで小さくすることができます。霞の除去をしたり、空を暗くするのに一般的に使われているイエローフィルターは、吸収率の順に挙げると、 コダック ラッテン フィルター No.3、8、12、15です。空を更に暗くしたり、霞の除去効果を強くしたりするには、No.21、23A、25、29 などの明るいオレンジから濃い赤のフィルターを使うとよいでしょう。これらのフィルターはそれぞれの吸収率で青と緑の光を吸収します。
 |
| 図 51 |
注意 : 長時間露光の場合は、フィルターファクターに加えて相反則の補正も必要となります。
* 視覚的に明るさが類似した様々な色を単一のグレートーンで描写します。 |
|