露光について
撮影用フィルムのデータシートには、次の見出し、すなわちフィルム露光指数、照度表、ライティングコントラスト(照明比)、相反則特性、フィルターファクター(白黒フィルム)またはカラーバランス(カラーフィルム)に露光についての情報が記載されています。これらの各要素につきましては、以下で説明します。
露光指数 4
フィルムの露光指数(EI )とは、特定のライティング下で必要な絞り値を算出する際、露光計に設定するフィルム感度の値のことです。コダックおよびイーストマン映画用フィルムのデータシートに記載されている指数は、実際のピクチャーテストに基づいていますが、製作に使われる機材やフィルムなどによる多少の変動は考慮にいれておいた方がいいでしょう。露光には多数の変動要素が含まれています。個々のカメラ、ライト、露光計は皆それぞれ違っています。(ほとんどのレンズにはT ストップが目盛られています。)レンズのコーティングは、乳剤面に達する光の量を左右します。カメラの実際のシャッタースピードや f ストップの数値と、目盛の数値とは、時々違っていることもあります。ある種のフィルムの乳剤は独特な特性を持っていますし、また、カメラの撮影テクニックも露光に影響します。これら全ての変動要素が重なって、推奨されている露光と、特定の条件と機材での適正露光がはっきり違うこともあります。そのため、最高の結果を得るためにはカメラ、フィルム、機材のいくつかのコンビネーションでテストを行なった方がいいでしょう。データシートの露光指数の数値は、ISO 感度が記されている露光計に使用することができ、露光データを取る際の初期設定値として使われます。
光量の測定には、三種類の露出計が使われます。 反射光式平均測光メーター と 反射光式スポットメーター は、昼光下での露光を計るには最も有効であり、 入射光式露光メーター は白熱灯を使って屋内で撮影する場合に適しています。二つの 反射光式メーター は、しばしばコダックグレーカードと共に使われます。そのカードの片面は、屋内でごく普通の被写体に対する平均反射光量の測定に適した反射率18%のニュートラルグレーになっています。このグレーの面は屋外でもメーター値よりも露光を1/2 絞り分多くすることで使用が可能です。もう一方の面は、低い照明レベルで使用するために反射率が90%になっています。このカードの使用方法と、適切な絞りと露光時間の調節は、 コダックグレーカード(コダック出版物NO.R 27 )の中に記述されています。
露光ラチチュード
露光ラチチュード(寛容度)とは、フィルムが、使用可能な画像を再現できるオーバー露光とアンダー露光の間の範囲のことです。輝度比(白から黒の範囲)が減少するに伴い、露光ラチチュードは増加します。例えば、薄曇りの日には、最も明るい部分と最も暗い部分の範囲は狭くなり、ラチチュードが広くなります。一方、太陽に照らされた雪原の黒い木などのような、高い輝度比の被写体をフィルムで撮影する場合、ラチチュードは狭くなります。
照度表(入射光) 5
照明が暗い場合、または反射光式メーターで測光しにくい場合、照度を直接フートカンデラ(ルクス)で計ることのできる入射光式露光メーターを使用するといいでしょう。
注: ルクスとは国際規格で光の強さを表すために使われている単位です。現在使われている多くの入射光式メーターのスケールには、まだフートカンデラが使われています。1 フートカンデラはおおよそ1/10 ルクスに相当します。
ライティングコントラスト(照明比) 6
被写体を照明するのに人工光源を使用する際、キーライトとフィルライトの相対的な強さの比率を設定することができます。まず最初に フィルとキーの両ライトの照明下 で光の強さを測定します。それから フィルライトのみ の場合の光の強さを測定します。キーライトとフィルライト両方を合わせた光量とフィルライトのみの光量の比率が、ライティングコントラスト(照明比)となります。
ドラマチックな効果や特殊な効果の場合を除き、カラー撮影で通常使われる比率は、2 対 1 か、3 対 1 です。カメラフィルムのデュープが必要な場合、3 対 1 の比率を越えることは滅多にありません。例えば、あるシーンでメインライトとフィルライトを合わせた光量が、ハイライトの部分で6000 フートカンデラで、シャドーの部分が1000 フートカンデラであれば、その比率は6 対 1 です。この場合ライティングを許容範囲内にするためには、シャドーの部分は少なくも2000 フートカンデラか、できれば3000 フートカンデラが望ましいでしょう。
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| ライティングコントラスト(照明比) 2 : 1 |
ライティングコントラスト(照明比) 5 : 1 |
| 図 1 |
相反則特性 7
相反則とは、光の強さ(照度)と、フィルムが受ける露光量全体を考慮にいれた露光時間との関係を指します。「相反則の法則」によると、フィルムが受ける露光量(H )は、フィルムに到達する光の照度(E )と露光時間(T )の積となります。実際には、どのフィルムもある特定の露光において最高感度を持ちます。すなわちフィルムの求められた露光指数での通常の露光の場合、この感度は露光時間と照度レベルとともに変わります。この変化を「相反則効果」と呼び、通常の照度レベルと露光時間の範囲内では、フィルムはよい画像を形成します。極端な照度レベルまたは露光時間では、フィルムの実効感度が低下するため、低照度を補うために露光時間を予測される分増加させることや、短い露光時間を補うために照度を増加させることでは、適正露光とはなりません。このことは、「相反則の法則」では特に長い露光時間や特に短い露光時間でのフィルム感度を説明することができないため、「相反則不軌」と呼ばれます。相反則の法則は普通、白黒フィルムにおける1 / 5 秒から1/1000 秒の露光時間ではうまくあてはまります。これ以上かこれ以下のスピードでは、白黒フィルムは相反則不軌の対象となりますが、白黒フィルムの持つ広い露光ラチチュードにより、通常実際のフィルム感度の低下が補われます。この法則が働かない場合には、露光不足、あるいはコントラストの変化といった現象が現われます。カラーフィルムでは、三つの乳剤層のそれぞれにおける感度の変化が異なるため、フォトグラファーはフィルムの感度とカラーバランスの変化の両方を補正しなくてはなりません。しかしながら、コントラストの変化は補正できません。コントラスト・ミスマッチが起きるからです。
フィルターファクター 8
フィルターは、フィルムに到達する光の一部を吸収するため、使用する際は露光量を増加しなければなりません。フィルターファクターとは、特定のフィルムとフィルターが使われる際に、増加されるべき露光量を倍数で示したものです。このファクターは、主にフィルターの吸収特性、フィルム乳剤の分光感度、そして被写体に当たる光の分光特性によって変わります。
| フィルターファクター露光増加(絞り)への換算 |
フィルター
ファクター |
+
ストップ |
フィルター
ファクター |
+
ストップ |
フィルター
ファクター |
+
ストップ |
| 1.25 |
+1/3 |
4 |
+2 |
12 |
+3 2/3 |
| 1.5 |
+ 2/3 |
5 |
+2 1/3 |
40 |
+5 1/3 |
| 2 |
+1 |
6 |
+2 2/3 |
100 |
+6 2/3 |
| 2.5 |
+1 1/3 |
8 |
+3 |
1000 |
+10 |
| 3 |
+1 2/3 |
10 |
+3 1/3 |
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- |
公表されているフィルターファクターは、あくまでもそれが測定された特定のライティング条件下で使用されることを前提としているため、特に科学や技術分野に使われるリバーサルフィルムに関しては、テスト撮影を行なって実際の作業条件での適切なフィルターファクターを決定するのが望ましいでしょう。
フィルターファクターを決めるには、コダックグレーカードのようなニュートラルグレーの被写体を撮影するシーンの中に置きます。まず、そのシーンをフィルターなしで撮影します。それからフィルターをかけて、公表値のフィルターファクターを中心に、2 ストップアンダーから2 ストップオーバーまで1 / 2 絞りずつ連続して露光します。フィルターなしのシーンの1 フレームの濃度(ニュートラルグレー)とフィルターを使って撮影したそれぞれ1 フレームの濃度を、視覚または、濃度計を使って測定・比較し、フィルターを使用した露光とフィルターなしの露光が全体として同じになるところを探します。フィルターファクターとは、同一濃度を持ったフィルターをかけた露光の、フィルターなしの露光に対する比率のことです。
| フィルターファクター = |
フィルターをかけた露光

フィルターなしの露光 |
カラーバランス 9
カラーバランスは光源の色と関係があります。そして、カラーフィルムはフィルターを使わずに撮影できるような設計になっています。全てのラボ用フィルムとプリントフィルムは、プリンターに使われるタングステン光にバランスされていますが、カメラフィルムは普通、昼光用で5500K 、タングステン用で3200K または3400K にバランスされています。
推奨されている光源と異なる光源下で撮影する場合、カメラのレンズかまたは光源にフィルターを使わなければなりません。フィルムのデータシートには、最も一般的な光源に使う初期設定値として推奨されるフィルターが記載されています。その光源とは、昼光、3200K タングステン、3400K タングステン、クールホワイト蛍光灯、デラックスクールホワイト蛍光灯、そしてモール・リチャードソンH I アークランプ(ホワイトフレームとイエローフレームの両カーボン)などのことです。
プリント条件 10
ラボ用やプリント用フィルムには、代表的なプリンターのセットアップ方法が説明されています。これらのプリンターのセットアップの仕方は一つの例として読むべきで、 初期設定値としてのみ 使うべきでしょう。プリントの最適露光を得るには、ラボラトリーエイムデンシティー(LAD )によるコントロール方法が奨められています。
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