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撮影 無州英行氏
漆黒の闇の中で輝くダイヤモンドの映像 表現を支えたのはフィルムの軟らかな 階調とグラデーション |
ジュエリーマキのCM『ブライダルハーツ』。2007年ミスインターナショナル日本代表で女優の白田久子さんを迎え、漆黒の闇の中で華麗に輝くダイヤモンドを表現された無州英行さん。まるで映画のワンシーンを切り取ったかのような映像について伺いました。
ダークなトーンでダイヤモンドを引き立たせる
今回のCMは、ニューヨークの大富豪のホームパーティーに招待された彼女が、いきなり別室に呼ばれてプロポーズされ、ダイヤモンドのネックレスを貰うという設定です。僕らにはあまり縁のない話ですが……(笑)美術さんは意識してアールデコ調の柱にするなどしていました。
ディレクターの石毛浩介さんとは、かれこれ10年ぐらいご一緒していますが、今回はいつもと違ってクリエイティブディレクターを兼任されていました。私はジュエリーマキさんのお仕事は初めてですが、最初からディレクターとコンテを詰めたり、アイデアをディスカッションしたりしながら進めて行きました。
今回は照明さんもダイヤモンドを撮影するのは初めてだったので、事前にダイヤモンドを見て頂いてから現場に入りました。演出上、あまり動きもないので短い時間ではあったけれど集中して撮影出来ましたね。スタッフもよくご一緒する方々でしたので現場はスムーズでやりやすかったです。
ブライダルと言うと、とかく白が基調というイメージで捉えられがちですが、ダイヤモンドをどう表現するかを考えた時、直接的に“白”で表現するのではなく、暗闇に輝くダイヤモンドをイメージして、コンテの段階で提案させて頂きました。撮影では、よくあるギラギラ光った映像ではなくて、本物のダイヤモンドを、本物のライティングで撮影したら、どのように輝くのか、ということを追究しました。今回の撮影に使われたネックレスは、博物館でしか目に出来ないようなものだそうです。
ダイヤモンドのきらめきを表現
撮影はすべてセットです。新横浜にあるメディアガーデンでした。普段良く使っていて勝手知ったスタジオですね。撮影は人物カットに1日約8時間、商品まわりで約20時間くらいかかりました。フィルムは人物商品カット共にVISION2 100T 5212、400フィート巻きを20本程度使いました。構図は打ち合わせの段階で出来上がっていました。今回、ダイヤモンドのネックレスをかけてもらう時の女優さんの一瞬の表情の変化もかなり意識して撮っています。少しでもフレームがずれてしまうと、全然別なイメージになってしまう可能性がありますので。
ダイヤモンドはシャープなものじゃないですか。きらめきを表現するため首のネックレスにフォーカスを合わせると、自ずと女優さんは僅かにフォーカスアウトします。その効果を利用して肌をソフトに再現しています。
やはり重要なのはライティングですよね。今回はLEDのリングライトを多用しています。寄りのショットで使っていますが、一番効果が出ているのは胸元のショットです。キャメラはアリカムで、レンズはクックのS4とツアイスの300mmでした。
すばらしい階調とグラデーション
今回は全編をVISION2 100T 5212で撮影しました。5247(注)の時代から気に入っているのですが、やっぱり100Tはいいですね。映像を見て、僕自身「なんだろうこの重量感は?」と驚きました。黒からグレーのグラデーションと階調が凄くいいんですよ。細かいディティールまで再現しています。白田久子さんは2007年のミスインターナショナル日本代表なので、言うまでもなく綺麗なのですが、特に肌の美しい人でした。フィルターも一切、使っていません。女性の本当の美しさや肌はいいものに限ると(笑)
HDは手軽でいいのですが……手軽なだけなんですよね。もちろん時間のない時やコストの問題を解消してくれますが、色味や調子は後で直すので、その時になって苦労することが多いんですよ。フィルムのグラデーションやトーンは明らかにHDとは違うのです。フィルムの黒の軟らかな階調はいいですから。
注:5247 イーストマン カラーネガティブフィルム 125T 5247
挑戦してみたいドキュメンタリー
僕は映画だとかCMだとかジャンルにはこだわってはいません。どちらも好きなので。実は難しいのは分かっているのですが、機会があればドキュメンタリー作品を撮ってみたいんです。例えば動物ものとか。もちろん、人物にも密着して追いかけてみたいですね。その場の光だけで、その空間の空気感を出すような作品を創ることが出来ればと思っています。
最後にメッセージとしてお話しますが、これからの若い人たちには、物事にとらわれずに何時でも自分らしさを出して取り組んでもらいたいですね。20年くらい前と比べると今はメディアの発達で作品を発表する場は広がっていますし、素質のある若手はたくさん育ってきていると思いますから。しかし、発表の場が増えたことがそのまま収入の増加に繋がってはいないという現実はありますけれど。そのような中で色々と制約はあるのだろうけれど、思い切って自分らしさを出していって欲しいですね。僕らの仕事は、映像の本質(企画の本質)を突き詰めていかなければならない仕事でもあるので、個性的に挑戦していって欲しいと願っています。
| ● Profile. むしゅう・ひでゆき |
| ■1960年東京都出身。 ■小暮徹氏のアシスタントを経てキャメラマンに。 ■主な作品/●CM: ヤクルト『ヤクルト400「黒から白へ」』、ミキ『カメリアダイヤモンド「ブライダル・ハーツ」』、ハウス食品『バーモントカレー「手越お米」』、パスモ『PASMO「あの街もこの街も」』、アサヒビール『新生「大地で実感」』、日本コカ・コーラ『一(はじめ)「生産者の特権」』、みずほ銀行『宝くじ「サマージャンボ」』、ダイドー『ダイドーブレンドコーヒー「モノマネできないステージ」』、カルピス『カルピス酸乳アミールS120「120の唄」』、総合警備保障『ALSOK品質「井上康生に聞け」』ほか。 ●映画: 『偶然にも最悪な少年』(2003年/グ・スーヨン監督)、『THE 焼肉 MOVIE プルコギ』(2006年/グ・スーヨン監督)、『逃亡くそたわけ-21才の夏』(2007年/本橋圭太監督) |
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主要制作スタッフ ■広告主:株式会社三貴 ■代理店:株式会社アサツーディ・ケイ ■制作会社:株式会社ロボット ■プロデューサー:加太孝明 木城慎也 芦沼智行 ■ディレクター:石毛浩介 箕浦えり子
■照明:河上昌弘(有限会社キャンドル) ■美術:畠山雄一(株式会社ヌーヴェル・ヴァーグ) ■衣装:萠(MOYURU)インターナショナル株式会社
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