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SHOOTING eye
 ON CAMPUS
   
相子奈菜氏
日本映画学校
相子奈菜氏



海外の人達と触れ合うことが財産になる
海外の映画撮影ワークショップで
彼女が得たものは


ハンガリーで開催された2007年の「ブタペスト・シネマトグラフィー・マスタークラス」に参加した日本映画学校3年の相子奈菜さん。世界的なシネマトグラファーが指導するワークショップの感動を伺いました。

参加出来た幸運

  相子奈菜氏
  修了証書を持つ相子さん
今年5月に、コダックさんから「ブタペスト・シネマトグラフィー・マスタークラス」にアジア太平洋地域から一名の学生を招待するという話があり、先生に「ぜひ、参加したい」ってお願いしたんです。でも、アジア太平洋地域から1名だけでしょう。「ダメかも」って思いながら待っていたら、幸いにも私が選ばれました。後から聞いたら申し込み書に書いた文に「フィルム撮影したい」って言う思いが強く出ていて、それが評価されたと聞きました。実習は大変でしたが、凄く居心地が良かったこともあり、結果として参加している間、楽しかったのが実感です。本当に参加出来て良かったです。
 

充実した実習

マスタークラスは実習が中心でした。参加者は40人程度でしたが、そのうち16名が撮影監督を担当し、残りはオブザーバーです。実習では8つのテーマがあって、ウェルカムパーティーの時にくじ引きで誰がどのテーマをやるかを決めました。撮影監督を担当する人は、与えられたテーマをスタジオで再現するんです。テーマは朝起きたシーンだとか、夜で嵐のシーンだとか。犯罪シーンなんかもありました。そのテーマに沿って、朝の光とか夜だったら月の光とかをライティングで表現しないといけない……

朝、スタジオへ行った時に、撮影監督を担当する人が、自分の撮影プランとか照明プランとかを「今日はこんなふうにやりたいから」って皆の前で説明して、教えに来てくれている先生、先生は皆現役のシネマトグラファーなんですが「ここどうするの」とか軽く質問したりして、決めていきます。撮影監督は1日2人なので、打ち合わせは長くても20分くらい。終わると、じゃあ、撮ろうかっていう感じで進みます。撮影が始まると、全部、撮影監督を担当する人が仕切ります。スタイルもまちまちで、自分で全部指示する人、キャメラオペレーターもやる人、半々ぐらいでしたね。

次の日に、ラッシュが仕上がって来ますので、ラッシュを見て、「なんであそこはああしたの」とか言ったりして。先生からもいろいろアドバイスを貰います。自分達が実践するワークショップだったので、考えさせられることが多く、身に付きました。
 

照明にこだわるヴィルモス・ジグモンドさん

相子奈菜氏  
ヴィルモス・ジグモンド氏と相子さん  
私はオブザーバーでしたので、撮影監督は担当出来ませんでしたが、フォーカスや美術を担当しました。スタジオは大きくて、天井も高く、ホリゾントもしっかりしています。セットの美術も、希望に近いものを準備してくれていました。皆も、「こんな大きいライト見たことない」とか言ってました(笑)。

私たちが、慣れるまではスタジオの方が手伝ってくれていたのですが、日が経つに連れて、ライティングやセッティング、キャメラオペレートまで全部自分達でやっていくようになりました。必要なキャストも、参加者同士で、「やってよ」という感じで、交互に持ち回りでした。

照明は基本的にはタングステンでしたが、HMIも用意してあって、人によってはHMIを使っていました。キノフロを使っている人が多かったのですが、ヴィルモス・ジグモンドさんに聞いたら『バウンスライトは好きではない。理由は、「光」がコントロールしにくいから。キノフロも光が広がるのでコントロールしにくい』と言っていました。

使ったフィルムは、コダック VISION2 500T 5218 1種類です。35mmキャメラでの撮影は初めてでしたが、16mmと比べると安定感があり、とってもスムーズで滑らかでした。
 

撮影監督の解説付きで映画鑑賞

  相子奈菜氏
  バナーには世界各国の参加者のサインが
撮影を終えてからは、参加者が持ち寄った作品を見ます。さらに、夕食後は11時頃まで映画の時間です。ハンガリー映画が多かったのですが、毎回その撮影監督が来てくださって、皆が質問出来るという形式をとっていました。日本を出発する前に講師がヴィルモス・ジグモンドさんだと聞いていましたので、DVDでヴィルモス・ジグモンドさんが撮影された『ブラック・ダリア』(2006年、ブライアン・デ・パルマ監督)を見ておきました。そしたら、ヴィルモス・ジグモンドさんが来られたその日の映画が『ブラック・ダリア』でした。35mm上映でしたが、シャドウ部の再現などが全く違っていて、とても新鮮でした。今、卒業制作で照明助手を担当しているのですが、テレシネで見るとフィルムの暗部はつぶれてしまいます。改めてフィルムのトーン再現は凄いなと感じました。
 

異文化との交流

相子奈菜氏  
25カ国から約40名が参加  
今回は25ヶ国から参加していました。ヨーロッパの方が多く、アジアからは日本とインドだけでした。レバノンとかイスラエルとか、メキシコからは3人、ブラジル、カナダ、アメリカ、インド、チェコ、セルビア、ポーランド、ブルガリア…… イギリスから2人来てたんですけど、その2人がスペインからの留学生で、スペイン本国の人も3人いて、それでメキシコからも3人来てるじゃないですか。イタリア人も2人いて、スペイン語が話せるんですよ。スペイン語が飛び交ってました。(笑)

考え方や文化の違いだと思うのですが、外国の人は自分の意見をはっきり言って、あまり他人のことは気にしないように思います。相手のことを思いやり、あえて言わないということが日本人にはありますが、そうしたことが全くありません。授業とプライベートを完全に分けていて、授業ではちゃんと主張するけど、プライベートになると凄く仲良くなったりして、日本と違うなと思いました。そういうのが自分にとっては結構大変な面ではありましたが、文化の違いを経験出来たのはとても良かったです。
 

アジア合作映画の夢

いずれ国際合作映画を作りたいというのが自分の夢です。中国や韓国、台湾、東アジア地域の人たちと映画を作りたいです。こんな大きなことを言っていいのかどうか分かりませんが、政治的な国と国との関わり方ではなく、文化の所で繋がっていけたら、お互いのコミュニケーションが良くなり、もっとスムーズな関係になれるのではないかと思います。国と国では難しいことでも、個人と個人では凄く仲良く出来ます。そのためにも色々海外に出て、色んな人と知り合っていくことが、これからの財産になると思っています。最終的には、それが何年かかるか分からないですけれど、実現することを夢見ています。


ブダペスト・シネマトグラフィー・マスタークラスについて

「ブダペスト・シネマトグラフィー・マスタークラス」は1995年にフランスのカンヌで設立された映画・テレビの学校の世界的な協会CILECTとハンガリー撮影監督協会が主催する映画撮影についてのワークショップです。コダックはメインスポンサーの一社で、参加者をアジア太平洋地域で映像について学ぶ学生に広げています。「ブダペスト・シネマトグラフィー・マスタークラス」は撮影を志す人、誰もが参加を熱望するワークショップで、世界的なシネマトグラファーの指導の下に撮影するチャンスが得られます。過去には、ヴィルモス・ジグモンド氏(ASC、HSC)、ビリー・ウイリアムス氏(BSC)、ハスケル・ウェクスラー氏(ASC)、ディーン・カンディ氏(ASC)、ラズロ・コヴァックス氏(ASC)等が指導に当たりました。


   
寺川 光洋氏
日本映画学校 企画調整部 部長
寺川 光洋氏

今回はチャンスを与えて頂いて、コダック様に感謝しています。今後もそういう機会に恵まれる学生が、なるべくたくさん、出てきて欲しいと思います。

だいぶ前になるのですが、李相日(リ・サンイル:映画『フラガール』(2006年)の監督)が卒業してすぐ、ニューヨーク大学が主催した国際映画祭がありました。それに彼が卒業製作で作った「青~chong~」という映画を持って参加したことがありました。25ヶ国以上が参加し、70くらいの作品を10日から2週間くらいかけて観ました。残念なことに「青」ではなくオランダの作品が大賞に選ばれたのですが、その時に観た、海外の学生たちが作った作品は、ユニークなものが多くありましたし、海外の作品はたいへん恵まれた機材や環境を使って製作しており、彼にとってもいい刺激になったと思います。

賞が貰えるかどうかということではなく、世界の人たちが集まって一緒に映画を観るということ、世界の広さと、新しい発見があったと思います。

私達の日本映画学校ももっと積極的に国際交流に関わって行こうと思っています。


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