flag   日本 [change]
In Camera — October 2005
 Feature Films
Mee-Shee The Water Giant
ジョン・イグナティウス撮影の『Mee-Shee the Water Giant』に出演している女優レナ・オーウェン。 PHOTOS: COURTESY OF OGOPOGO PRODUCTIONS INC.

ニュージーランドの幻想的な美しさは、ピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リング』(The Lord of the Rings、2001年)のヒットで世に広く知られるところとなった。2002年4月、ジョン・ヘンダーソン監督とジョン・イグナティウス撮影監督はクイーンズタウンに行って『Mee-Shee The Water Giant』を撮影した。こちらもファンタジー作品で、ドラマティックな湖と目を見張るほど美しい周囲の風景が舞台になっている。だがこの2つの作品の類似点はほとんどその部分だけである。

「ものすごく予算が限られていたんだ」と語るイグナティウスは、『Two Men Went to War』(2002年、ジョン・ヘンダーソン監督)やテレビ映画『鏡の国のアリス』(Alice Through the Looking Glass、1998年、ジョン・ヘンダーソン監督)、『Randall and Hopkirk (Deceased)』(2000年、チャーリー・ヒグソン監督)のほか、近日公開の『Greyfriars Bobby』(2005年、ジョン・ヘンダーソン監督)などを手がけてきた。「でもポストプロダクションでデジタルインターメディエイト(DI)技術を使うことがわかっていたおかげで、とてもスピーディに行動できた。コストのことを心配しているプロデューサーみんなに、DIは非常に低コストでできると自信を持って言えるね。ひどく限られた予算でつくる映画でもそうなんだ」

主人公の少年の父親は、計画していたディズニーランドへの旅行を取りやめて少年を辺鄙なカナダの湖に連れて行く。父親がなくした用具を探している間に、少年はその湖に住んでいる伝説の生き物についての地元の言い伝えを知る。いたずら好きな少年が素朴で美しい湖を台無しにしそうになったとき、いくつかのストーリーラインが1本に集まっていく。

イグナティウスはスーパー35フォーマットで撮影することにした。オプティカルなステップを排除することでDIとうまくかみ合わせられるフォーマットだ。彼は効果撮影チームと空撮および水中撮影の専門家を含め、4つの別々の撮影チームを監督した。

「ファミリー映画なので、感じのよい生き生きした映像と豊かで暖かい色合いにするつもりだった。膨大な量の特殊効果が必要であったので、フィルターをつけての撮影は複雑になるからDIで調整することにしたんだ。偏光プリズムとニュートラルのほかは、フィルターは最小限に抑えた」

潜水艦の中からのショットはブルースクリーンをバックにして撮影され、窓からの景色は後で合成された。ジム・ヘンセンのクリーチャー・ショップが製作した湖の生き物は、幅1メートルのアニマトロニクスの頭と首が特徴的だ。この生き物のショットはほとんどイギリスのパインウッドスタジオに設けられたステージと水槽で撮影された。広めのショットがデジタルでさらに強調される。イグナティウスはマッチングを楽にするために、生き物をシャープなハイライトとソフトなルックで撮影した。

Mee-Shee The Water Giant

ジョン・イグナティス撮影監督(左端)とクルーメンバー。ニュージーランドのロケ地で撮影準備中。 PHOTOS: COURTESY OF OGOPOGO PRODUCTIONS INC.
 

「生き物が出てくるシーンの撮影はかなり細かく図面にしたので、効果担当者は私の照明の配置図を活用してルックを再現することができた。そのショットでは費用を節約するためにキャメラは動かさなかった。アニマトロニクスの生き物はすばらしい出来だったね。私がこれまで見た中でもトップクラスの美しい作品だったよ」

イグナティウスは『Mee-Shee The Water Giant』をすべてコダック VISION 200T 5274で撮ることにした。「5274の大ファンだし、いろんなフィルムを使って事を複雑にしたくなかったんだ。DIでは1種類のフィルムを使うとうまくいくのがわかっていたしね。予算が限られていたから、湖のまったく違う場所で何週間も経ってから撮影しなくてはならないことがあったけど、光の方向を選択する余地も条件が合うまで待つ余裕もなかった。DIである程度何とかできると知っていたから、とにかく前に進んだよ」

DIのときには追加のモニターを使うことで作業の効率が良くなることがわかったとイグナティウスは言う。「3ポイント分明るくしたモニターが1台あると、グレーディングのむらがはるかによくわかる。だから努力次第で何とかできる可能性がある。時間はどんどん少なくなっていくので、与えられた時間で望みどおりの品質基準に達するには、できるかぎり近道を使う必要がある」

イグナティウスは、ニュージーランドのクイーンズタウンの驚くべき美しさをフィルムに収め、DIのプロセスにおける調整内容を指示できたのは、撮影監督として光栄だったという。「そういう面は本当に楽しかった。すごくおもしろかったけど、少しがっかりもしたんだ。監督が立ち会っていなくて、私がグレーディングをできたのは彼のカットではなかったから。映像の制作は共同のプロセスであることが大切だね」


Home | プライバシー | 著作権