|
 (左から)第2撮影助手のマイケル・バーク、第1撮影助手のエリック・カーティス、撮影監督のボビー・ブコウスキー。 『The Hawk is Dying』の1シーンの撮影準備中。 |
「映画を観ていて何が興奮するかって、やっぱり自分の見知らぬ場所に案内されることだよね」とボビー・ブコウスキーは言う。「ストーリーの展開とともにその場所が現れて、そこについてわかってくるにつれて、自分も物語の中に入っていく感じがしてくる。知らない場所に行って初めてその場所を見て、感じて、その新鮮な反応とインスピレーションを映画を観る人たちに伝えられるなんて、キャメラマンとしてはすばらしいことだよ」
『The Hawk is Dying』の場合、その場所はフロリダ州ゲーンズビルだった。スペインゴケが生きた樫の木から垂れ下がり、沼地には鳥が群がっている土地だ。ジュリアン・ゴールドバーガー監督はハリー・クルーズの小説を脚本にした。実話をもとにしたこの物語では、『サイドウェイ』(Sideways、2004年、アレクサンダー・ペイン監督)のポール・ジアマッティ演じる車のシートの上張り職人が、平凡な生活に刺激を求めて、赤い尾をした野生の鷹を飼いならす。
ブコウスキーとゴールドバーガーは、予算がきつかったため、一度はデジタルビデオで撮影することも考えたが、結局スーパー16を採用した。テストの結果、ブコウスキーは主にコダック VISION2 250D 7205と500T 7218で撮影することにした。昼間の屋外ではイーストマン EXR 50D 7245を使うこともあった。
「可能な場合は出来る範囲でネガをオーバー露光にした」とブコウスキーは言う。「前に16mmでコマーシャルを撮ったとき、このテクニックを使ったことがあった。たとえば曇りの日に撮影している場合、7205で(露光指数を)64、つまり2絞りオーバーにして、あとで現像のときに1絞り減感したんだ。それで粒子が本当にぴったり詰まる。それにコントラストが少し開けて、カラーパレットの彩度が下がるのも気に入っている」
彼はこう続けた。「時間も照明もあまりなかったから、このテクニックでシャドーが深くとらえられたのには助けられたよ。粒子が少なくなっているのが、リリース用プリントの35mmに引き伸ばすときにとても役立つだろうね」
|
 撮影中のボビー・ブコウスキー撮影監督(左)と第1撮影助手のエリック・カーティス。 |
ブコウスキーとゴールドバーガーはトッド・ハイドゥの写真からもインスピレーションを得た。「彼の写真の中で、自然光が水銀灯やナトリウム灯やタングステンライトと混じり合っている感じが気に入ったんだ」とブコウスキーは言う。「フロリダに到着したとき、夜に周囲をドライブして魅力的な自然光を求めてロケ場所を探し出し、ジュリアンに見せるためにデジタル スチル カメラでイメージを撮影した」
クルーを連れてそのロケ場所に戻ったとき、ブコウスキーはその場にある明かりで撮影することもあった。「発電機と20台の18Kやムスコライトを持ち込まなくていいと、みんなすごく楽だったよ。仕事のやり方としては本当に快適でやりやすかった。自然光を補うために、小さなチャイニーズ ランタンや低ワットの家庭用電球を使ったり、僕の胸か手で懐中電灯を反射させたりした。広く開いて撮影すれば、露光に十分な光が得られたんだ」
ミニマリストのアプローチ
このミニマリスト的アプローチは室内の撮影でも続いた。「家に入って、実際の明かりをつけたら、それだけで照明の75~80パーセントになるようにしたかった。美術のジュディー・ベッカーは本当に優秀だったね。僕たちはセットの中で実際に使うライトを慎重に選んだ。たとえば、テーブルに光がまっすぐ落ちるように不透明なシェードの電灯にしてくれと頼んだりしたんだ。そうやってテーブルからの反射光で俳優を照らすことができた。ゴボアームに40ワットの電球を付けてほんの少し補えばOKだったよ」
『The Hawk is Dying』はほとんどすべてハンドヘルドキャメラで撮影された。遠くから客観的に眺めているというより実際に向き合っているような雰囲気の映像をつくり出すために、広めのレンズを使って俳優に接近して撮影した。ブコウスキーはほとんどメインキャメラのオペレーションをした。普通はアリSRだったがもっとコンパクトなアトーンA-minimaの場合もあった。
この撮影スタイルのおかげでブコウスキーは、自然に体を近づけてジアマッティとうまくやり取りすることができた。
「僕は基本的に、演技にこめられた真の感情やシーンの激しさとか静けさに反応していた。ポールが僕を動かしていたね。導いてくれたんだ。本当に身近なところまで招いてくれた。彼に奮い立たせられた感じだったよ」 |