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In Camera — October 2005
 Feature Films
The World's Fastest Indian

伝説のバイク乗りバート・マンローを演じるアンソヒー・ホプキンス。映画の1シーンより。
 

オーストラリア生まれのニュージーランド人ロジャー・ドナルドソンにとって、『The World’s Fastest Indian』は30年余りずっと撮りたかった作品だった。主演のアンソニー・ホプキンスが演じる伝説のバイク乗りバート・マンローは、1920年型のインディアンの名車スカウトを改造して世界をまたにかける旅に出発し、ユタ州のボンネビル ソルトフラッツでのレースで世界最高速度記録を樹立した。

2500万ドルが投じられ、2004年9月にユタ州ソルトレイクシティとニュージーランドのインヴァーカーギルで撮影が行われたこの映画で、ドナルドソンはオーストラリア人撮影監督デイヴィッド・グリブル(ACS)と再会した。2人は15年ほど前に『キャデラック・マン』(Cadillac Man、1990年)で一緒に仕事をしていたのだ。

グリブルはこう語っている。「僕がソルトレイクシティに着いたのは撮影開始の2週間前、つまり準備にかける時間がほとんどなかったっていうことだ。ロジャーと僕はデジタルインターメディエイト(DI)について話したんだけど、僕はコマーシャルの経験からどんなすばらしいルックが実現可能か知っていた。『Indian』は2.35:1で撮る予定だったので慎重に考える必要があった」

視覚に訴えかけるこのストーリーで脚本家とプロデューサーと監督を務めるドナルドソンにとって、臨場感を出すことが重要だった。ドキュメンタリーの雰囲気は避けながらも、彼らがそこにいると観客に感じてほしいと思っていた。グリブルの説明では「真に迫った映像を実現するためには、レンズのフレアや完璧でないフレーミングも許された。ロジャーがモニターを見ながらズームをコントロールしたんだ。250mmズームを最長にして撮影することもあって、Aキャメラオペレーターのドン・ムアヘッドにとってはとても面白かったと思うよ」

The World's Fastest Indian

自分のバイクに乗るデイヴィッド・グリブル撮影監督(ACS)。
 

“お気に入りのフィルム”であるコダック VISION2 500T 5218で撮影したグリブルは、ソルトフラッツではコントラストを強くして可能な限り白い塩が“飛ぶ”ようにオーバー露光にした。「ラッシュを見て、ロジャーも僕もこのフィルムがハイライトのディテールをどれだけきちんととられているかにびっくりした。5218のシャドーディテールは有名だけど、トーンスケールの両端、つまりシャドーもハイライトもいい感じだった」

比較的低予算だったので、クルーはつねに迅速に動いた。DIで仕上げることがわかっており、ドナルドソンがリアルで自然な映像を好んでいることを考慮して、グリブルはフィルターを慎重に選んだ。「ランプのゼラチンの色がライティングのルックに効果的だった。屋外では偏光プリズムを使うこともあった。映像の質を高めるためにソフトエッジのNDグラデーションフィルターがキャメラの1台に必要だと思ったら必ず、小さい手帳にメモしておいたんだ。こうすれば、またそのフィルターが必要になっても、ポストのときにロジャーをもう1度説得する必要がないからね。マンローがネバダとユタの砂漠を行くとき、曇天の空撮には赤いフィルターを使った。そのおかげでもやを通して被写体をとらえ、砂漠の風景の暖かさを強調することができた」

ニュージーランドの美術監督ロブ・ギリーズがマンローのバイク置き場の実際の見取り図を受け取ったとき、新たな難題が起こった。「2メートルの天井に窓がたった1つしかない状況で、最終的に僕を救ってくれたのはバートを知っていたという地元の人が提供してくれた本物の小道具だった。壊れたピストン、テールフィンやモーターなど、本物の小道具がぎっしりと並び、僕らは時間を節約するためにそのロケセットをどんどん撮った――そして毎日毎日雨降りだったんだ。屋外撮影が組まれていた期間ずっと雨だなんて、僕にとっては記録的なことだったよ。天気が悪かったおかげでニュージーランドのシーンはソルトフラッツのハイキーのシーンとはまったく違ったルックにすることができたけれど、問題をすべて解決してくれたのはフィルムだった。僕は5218に心底ほれ込んでいるよ」


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