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In Camera — October 2005
 Feature Films
American Gun

撮影監督のナンシー・シュライバー(ASC)。 PHOTO:MACALL POLAY

『American Gun』は一見ばらばらに思える登場人物が絡み合う、3つの物語で構成されている。登場人物の1人であるシングルマザーは、自分の息子がコロンバイン高校の銃乱射事件さながらの忌まわしい罪を犯すという経験を経て、何とか生活を立て直そうとしている。ほかにも高校の校長と優等生、銃販売店の店主と家業を手伝う孫娘にまつわる物語が展開する。共通点は、登場人物全員が銃による暴力の影響を受けていることである。ナンシー・シュライバー(ASC)は各ミニドラマの感情を視覚的にはっきり表現し、また、場所と時間を印象づけるために、それぞれに異なるルックをつくり出した。

物語の舞台はオレゴン州、イリノイ州、そしてバージニア州であるが、シュライバーに与えられたのは24日間の撮影スケジュールだけであり、そのためほぼすべての撮影はロサンゼルスにあるロケ地で行われた。ただし、シカゴの物語では、セッティングをはっきりさせるため、1日だけは実際にシカゴで撮影した。

このインディペンデント長編映画はIFCフィルムと関係の映画会社がプロデュースした作品で、スーパー16で撮影され、デジタルインターメディエイト(DI)で仕上げられ、35mmフィルムにブローアップされた。スーパー16が採用されたのには予算的な理由もあったが、主として芸術的な面での選択だった。

シュライバーはこう語っている。「アリック・アヴェリノはすばらしい監督で、この映画のいろんな部分にハンドヘルドによるドキュメンタリー風の鋭いルックがほしいと考えていたの。他のシーンはドリーで滑らかに動くキャメラで客観的に撮影した。いろんなタイプのフィルムでテスト撮影してDIの仕上げまでやってみて、オプティカルの引き伸ばしと比較してみたわ」

シュライバーは3種類のフィルムを用意することにした。輝くようなバージニアのシーケンスはすべて、粒子が非常に細かいコダック VISION2 500T 7218を信頼してオーバー露光で撮影した。オレゴンのシーケンスにも7218を使い、昼間の屋外では時々コダック VISION 250D 5246に切り替えた。シカゴを舞台とする非常に鋭い感じのシーンには、彼女としてはスーパー8のほうがよいと思ったが、コダック VISION 800T 7289を使った。

「ドキュメンタリーやミュージックビデオでの経験が役に立った。アリックがシカゴの部分に粗くざらざらした冷たいルックを望んだから、ハンドヘルドキャメラを使ってドキュメンタリースタイルで撮影したの」

エイブル・シネテック社が提供したアトーンXTRprodスーパー16キャメラには、ズームレンズ、マットボックス、ワイヤレストランスミッター、400フィートのマガジン、およびバッテリーパックが含まれていた。アヴェリノがストーリーにジャンプカットを差し挟みたがったので、シュライバーは2台のキャメラでシーンをカバーすることが多かった。Aキャメラはリック・ロバートソンがオペレートし、Bキャメラはシュライバーがかついだ。

American Gun

俳優のフランク・ゴールドウィン。『American Gun』の1シーンより。 PHOTO: COURTESY OF IFC
 

1つの物語では、ドナルド・サザーランドがオレゴンの銃販売店の店主カールを演じる。カールは銃を日常生活の一部だと考えており、大切な宝物のように愛情を込めて扱う。この物語のフレーミングはほとんどが、ドリーに取り付けて流れるように動くキャメラとロングレンズを使った古典的なものである。リンダ・カーデリーニ演じる大学生の孫娘はカールの店を手伝っているが、銃販売店で働くことについて迷っている。その苦しみは友達にも理解されず、彼女は友達のことで悩む。この物語のシーンはおもにアルタディーナ(ロサンゼルス近郊の町)の郊外で撮影され、シュライバーはヤシの木などのいかにもカリフォルニアらしい風景を避けた。

もう1つの物語では、マルシア・ゲイ・ハーデンが生き残った息子を苦労して育てている。3年前にもう1人の息子が大勢の子供を銃で殺した。シュライバーのキャメラは、息子が引き起こした暴力を憎み、彼女を非難する周囲の人々と何とかうまくやっていこうとする母親に観客をぐっと引き寄せる。シュライバーはこの物語のシーケンスをおもに静止した古典的なフレーミングで撮影した。また、人々の悲しい人生を手描きの絵のような質感で表現するため、ほとんどの色彩を抜いている。

シカゴの物語では、1人の優等生がコンビニで夜通し働いている。彼は護身用に銃を持ち、学校ではそれを隠す。事故が起こるのを待っているシーケンスである。フォレスト・ウィッテカーが、生徒に銃の所持をやめさせようとする高校のカーター校長を演じている。学校の屋内はウッドランド・ヒルズで、屋外シーンはハリウッドで撮影されたが、ここでもヤシの木や白い漆喰の建物は巧みに避けられた。つねに危険な雰囲気がつきまとっているように感じられるが、シュライバーによるとそれは冷たく青いモノクロ調と、ハンドヘルドキャメラがつくり出すざらざらした質感と躍動感の結果だという。その雰囲気が観客を主観的な視点から物語の深みへと引き込んでいく。

「暴力が噴出しそうな感じがつきまとっているの。教室や廊下やロケ地で人物がシーンに入ってくるときは、電池で点く手持ちの補助光を使ったわ」

フォトケムがマーク・ヴァン・ホーンの監督の下でラッシュを作成した。シュライバーはバーバンクにあるテクニカラーのインタラクティブで協力的な環境で、カラリストやアヴェリノと一緒にDIシステムを使ってフィルムのタイミングを行った。

HDで撮影する代わりにスーパー16で撮影してデジタルで仕上げをするやり方は、予算の限られた映画にはとてもいいとシュライバーは感じている。ラチチュードや広いコントラストといったフィルムの持つ強みがすべて出せるうえ、HDモニター用にコントロールできる暗い環境に縛られることなく、ただキャメラを手に取って楽にすばやく動くことができる。これらの点が鍵となって、アヴェリノとシュライバーとプロデューサーのテッド・クローバーは、フィルムで撮ってDIで仕上げることを選択したのである。


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