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フォーカスプラー(ファーストアシスタント)から撮影監督になるまでには、とっぴなオールナイトのプロモや予算のきつい短編映画を撮影させられることが多い。また、監督の中には自分の作品やクルーを自分の目的を達成するための手段としか見ない人もいる。だが駆け出しの撮影監督ロバート・シャックレディの場合は、2年間の準備期間の最後に実りがあって満足できる短編映画を経験することになった。贅沢に制作された『Against Nature』は、2人の献身的な映画人アントニー・ザキとジョン・ストーリーの頭脳から生まれた作品である。
シャックレディは次のように語っている。「彼らは僕を撮影する予定の場所の取材に呼んでくれたんだ。ポートマンスクエアにあるジョージア王朝風の会員制クラブ、ホーム・ハウスだよ。中に入ってとにかく興奮したね」。撮影してくれと叫んでいるように感じたという。「それから2人はすごい名優の話を始めた。そのときようやく2人がビジネスの話をしているんだと気づいたよ」。その俳優とはアラン・コーデュナーとエイドリアン・ダンバーのことで、10~12分の会話なしの映画を撮影する計画だった。
会話がないため撮影技術が重要だった。8日間の撮影中ずっと、新人監督と組んだ撮影監督の肩にプレッシャーが重くのしかかった。彼の戦略はシンプルにやること、そして集められるかぎりの最高に優秀で経験豊富なクルーを雇うことだった。まずは定評のあるキャメラオペレーター、ピーター・ヴァーシー。ヴァーシーなら監督たちに豊かな経験を伝授できるし、撮影監督は1シーンをライティングしたあとすぐに次のセットアップにかかることができる。短編映画の場合、予算の関係でオペレータを雇えないのが普通だが、ヴァーシーのお陰で制作時間が何時間も短縮できたとシャックレディはいう。「撮影でとりわけ貴重なのは時間だ。賢く使わなくちゃいけない」
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『Against Nature』の撮影風景 |
「僕は作品に合ったアスペクト比を選びたい。スーパー35の2.35フォーマットが好きなんだけど、この映画には1.85を採用した。純粋にロケ地の建築を芸術的にフレーミングするためにね」
現実的なキャメラの選択―ムービーカム・コンパクト―とフィルムを1種類に絞ったことから、シャックレディが時間とお金を最大限に活用する方法をよく理解していることがわかる。「短い切れ端がたくさん残るのがいやだったし、ナイトシーンやキャンドルのショット、昼の室内と屋外、どちらにもうまく対応できるフィルムがほしかった。これだけ様々な条件のショットがあるから、つねに粒状性とコントラストの幅をキープできるフィルムが必要だっし、暖かめのルックがほしかった。答えは18(コダック VISION2 500T 5218)だったんだ」
さらに予算を節約するためにマスターをHDのデジタルにして、映画祭用に15分バージョンと30分バージョンを制作した。デジタルマスターは最終的に劇場上映用の35mmに引き伸ばされる。デジタル変換することで、作品価値をもっと高めるために加工することができた。「グレーディングで作品全体の輪郭を少しだけぼかしたんだ。微妙だけど、がらりと変わるね」とシャックレディは笑う。「観る人が無意識に映画に引き込まれるような、ちょっとしたなつかしい雰囲気を出したかったんだよ」
シャックレディは『Against Nature』の撮影を多いに楽しんだ。彼はこの作品での自分の仕事について誇らしげに、しかも自嘲気味のユーモアもこめて語っている。退廃的な貴族の集中力をうるさいハエが妨げているところから映画は始まる。「ハエがどこにでもついてくるように思えるよ。ほかにもオープニングにハエが出てくる短編を撮ったことがある。誰にでもトレードマークっていうのがあるけれど、僕の場合はハエだね」。彼はハエの話に熱を入れ始めた。「ハエの世話係がすばらしく有能でね。ハエ1匹1匹に名前があって、撮影当日にいちばん大きく太るように特別な育てられ方をしていた。フラワーショーに出品する花みたいにね・・・でもハエだよ!」
『Against Nature』は2005年6月1日にBAFTA(The British Academy of Film & Television Arts)で報道関係者や映画業界関係者および著名人を招いて初上映された。現在各地の映画祭を回っている。詳細は www.againstnature.net と www.robertshacklady.com にて。
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