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動画の歴史を後世に伝えるには、メディアライブラリーを適切に保存することが重要で、それは賢いビジネスでもある。「不朽の名作」は、映画スタジオとコンテンツ所有者にとって商業的遺産なのだ。作品の誕生から半世紀以上も収益力を保ち続ける貴重な企業資産でもある。

傷ついて画質が低下してしまった映画を、公開時の品質に戻してから鑑賞したいという観客の要望にこたえるには、デジタル技術は見事な解決方法だ。しかし、たとえ動画の修復がデジタルで行われるようになったとしても、高品質な保存――映画遺産の保管と維持――のためにはフィルムが標準であることに変わりはない。米国では、主なスタジオは、デジタルソースマスターから35mmフィルムの保護マスターをつくる。フィルム上に残された白黒色分解記録だけが、時の試練に耐えうることが実証されているのだ。実際、画像研究者がこの色分解白黒マスター(ポリエステルベース上のハロゲン化銀)は何世紀も存続すると話している。一方、デジタルメディアのメーカーは顧客に対し、データは5年ごとにチェックして遅くとも7年以内に新しいメディアに移行させるようアドバイスしている。

米国映画芸術科学アカデミーは最近、デジタル保存への依存の危険性を強調する研究を発表した。アカデミーの科学技術協議会がこの問題を徹底的に研究し、今のところデジタル情報を長期保存できる実証済みの手法はないと結論づけた。さらにこの研究では、現在の2Kデジタルシネマ規格は35mmフィルムより質が劣り、映写時間1分当たりの年間保存費用は、4Kのマスターで104ドルかかるのに対し、フィルムの場合は8.83ドルで済むことも明らかにしている。

本誌では、保存手法に関する意見や考え方を、多くのアーカイブの専門家に尋ねた。その一人、プロテック・メディア・プリザベーション・サービスの保存サービス担当副社長であるリック・アトレーは、現在、販売されているデジタル保存フォーマットは長期保存には耐えられないと言う。

「現在のデジタルアーカイブ計画は現実に基づいていない」とアトレーは語る。「デジタルは普及している――それは事実だ。しかし、長期保存のためのデジタルソリューションがまだ確立していないことも事実だ。実際、すでにデータは失われつつあって、デジタル作品はフィルムに記録し直さない限り、永遠に失われてしまう危険がある。いわゆる『ボーン・デジタル(生まれながらにしてデジタル)』の有名な作品には、事故やメディアの不具合でデータが消えてしまったものがたくさんある。そういった場合、DIテープからフィルムを起こしていなかったとしたら、損失は測り知れない。白黒分解は実証済みの手法だし、リスクマネジメントの考え方によれば、超大作の製作費用と比較してアーカイブのコストは限られたもので、将来の収益源としても無限の可能性を秘めている」

未来を守る

プロテックの修復管理ディレクターのスコット・マックイーンも同意見だ。「デジタルアーカイブは特効薬として提案されることが多いが、現実はそうではない。人の手による従来型のアーカイブから、純粋な1と0が魅力的であり、データとデータの中継もわかりやすいデジタルアーカイブへと移行しているが、そのプロセスはまだ実証されていない。経験豊かな資産管理者は、軽率な解決策には問題があるということを学んできた。デジタルアーカイブのビジネスモデルには大量のデータを5年ごとに移行する仕事も含まれている。保存メディアの劣化に加え、オペレーティングシステムが頻繁にモデルチェンジするためだ。2Kの本編映画1本は約2.5テラバイトになる。毎年制作される映画の本数をかけて、テレビ番組を足し、ライブラリーを足すと、データはものすごい量になる。フィルムは、可能な限り最大限の映像データを保持することが可能な、非常に丈夫で、緻密、かつ効率的なデータ記憶媒体なのだ。フィルムを捨ててしまったら、アーカイブのための実証済みのツールを排除することになる。二者択一である必要はない。賢い人は、適切に保存技術を使い分けている」

「デジタル技術はすばらしいし、限りない可能性を持っている」とアトレーは言う。「しかし今現在は、資産を未来に受け継ぐため、フィルムに記録したことを確認しよう」

ユニバーサル・オペレーション・グループの映像資産保存担当副社長、ボブ・オニールは、映像資産の市場は成長していると見ている。「保管室の管理(温度と湿度の調整)と在庫の管理を適切に行うことで、ユニバーサルはネット版や外国語版やDVDの制作など、映画に付随する市場ニーズを、すべて満たすことができる。市場の要求が高まり、新たな流通プラットフォームができあがるにつれ、この点がさらに重要になってきている」

二者択一が正しいアプローチでないことにオニールも同意している。「修復と保存に対するわが社のアプローチには満足している。ユニバーサルでは、デジタルとアナログの両フォーマットで作品を保存することが可能だ。わが社のライブラリーはこれから何十年も無事だろう。作品が完成するとDIファイルをバックアップするデジタルメディアがつくられる。このデータは品質管理され、何百年ももつ35mmのポリエステル分解マスターフィルムに記録される。さらに、すべての主音声ファイルがLTOデータテープとDVD(作業用コピーとして使われる)と35mmマガジンに記録されると同時に、簡単にアクセスできるサーバーに保存される」

芸術的ビジョン

ユニバーサル・スタジオ・ブルーウェーブ・オーディオのオーディオ修復保存ディレクターを務めるトム・リーガルも同じようなアプローチを取っている。デジタルフォーマットが短命であることを心配しているのだ。「私たちの使命は、オリジナルの芸術的ビジョンを維持しながら保存と修復を行うことだ。保存する媒体は多いほうがよい。現実的には、複数のデジタルコピーと1本のアナログコピーがよいだろう。市場の気まぐれから守るためには、デジタルアーカイブをオープンソースとして行うことが絶対必要だ」

米国議会図書館の映画・放送・記録音声部門のチーフを務めるグレゴリー・ルコーも、ハイブリッドモデルを採用している。「この図書館では、映像作品の大半はいまだに館内のラボでフィルムによって保存されているが、他の素材はデジタル保存されている。フィルムによる保存とデジタルによる保存の両方に注力している」

20世紀フォックスのフィルム保存担当副社長であるショーン・ベルストンは、フィルムによる保存を重視している。「私が知る限り、永遠の保存媒体はフィルムだ。フォックスでは、本編映画の製作では必ずネガまたはポジでYCM白黒分解を記録し、一種の保険としてデジタルで仕上げる。データテープが陳腐化するスピードは恐ろしい。だからつねにフィルム保存を信頼している。50年前のYCMマスターを取り出して、つなぎ直して新しいネガをつくることができる。データテープの場合は10年前のものでさえデータを取り出せないことがある。実はそんな単純なことなんだ。頭を悩ますことなどない」

ベルストンによるとデータ移行に問題が多いという。「フォックスでも確かにデータ移行をしているが、データ量は増える。ここ数年は毎年倍増している。すぐに管理不能になる。この問題への解決策に取り組んでいる優秀な人たちがたくさんいることは知っている。きっとそのうち誰かが何かを考え出す。でもそれまで、私はフィルムを棚に保管しておくつもりだ」

 

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