flag   日本 [change]
In Camera January 2005
 Feature Films
Untergang
『ヒトラー 最後の12日間』 の1 シーン。

オリバー・ヒルシュビーゲル監督の最新作 『ヒトラー 最後の12日間』(Der Untergang - Hitler und das Ende des 3. Reiches(Downfall))は著名なドイツ人歴史家ヨアヒム・フェストによる同名の小説を下敷きにしている。サンクトペテルブルクとミュンヘンで65日間にわたって行われた撮影で、1本の長編映画だけでなく、90分2回のテレビドラマも製作された。

1944年7月20日、ヒトラー(演じるのはブルーノ・ガンツ)をねらった暗殺事件が起こった日から始まるこの映画は、赤軍とヒトラ・ユーゲントが次第に支配を強める様子と、一般市民の苦悩を描いている。エンディングの1945年4月30日、ヒトラーとエヴァ・ブラウン(ユリアーネ・ケーラー)がベルヒテスガーデンで死に、翌日ゲッベルス一家が後を追う。

スイス人撮影監督ライナー・クラウスマンは30年のキャリアを持ち、バイリッシャー映画賞で最優秀撮影賞と最優秀監督賞に輝いた 『es[エス]』(The Experiment)をはじめとする優れた映画を、これまでにヒルシュビーゲルと組んで製作している。「『ヒトラー 最後の12日間』 は型破りな映画だ。当時のさまざまな出来事をできるだけリアルに、ストレートに描くために、私たちはドキュメンタリーのスタイルを採用した。私にとってのテクニックは実用本位と言うべきだろうね。最近の流行だという理由だけで、シーンに必要でない凝ったキャメラの動きやパンやチルトは使わない。ストーリーテリングと演技のほうが面白いと思うんだ。そっちに時間をかけたいし、監督とキャストが必要とするシーン表現を強調するような、構成要素としてのキャメラを作り上げられるように、監督にもキャストにもじっくり時間をかけたい」とクラウスマンは言う。

Untergang
 『ヒトラー 最後の12日間』 の1 シーン。

アリカム2台とコダック VISION2 500T 5218、コダック VISION 250D 5246を選んだクラウスマンは、サンクトペテルスブルクで1カ月ロケをした後、ミュンヘンのバヴァリア・スタジオでさらに35日をかけて掩蔽壕のシーンを撮影した。「再現されたフューラー掩蔽壕は小さくて、1.8メートル×2.7メートルしかなかったので、ハンドヘルドと広角の撮影を多用しなくてはならなかったし、唯一の照明は裸電球だった。そんな狭苦しいスペースに14、5人のキャストとクルーが入ると、ものすごく暑くて窮屈だった。1回に3、4時間撮影するんだが、終わって出られるのがうれしかったね。だが役者がひどく苦しんで接近したおかげで、リアルな雰囲気が醸し出された」とクラウスマンは説明している。

「戦争真っただ中のベルリンのシーンを撮影したサンクトペテルスベルグで、いろんな問題に直面した。町は破壊され、通りに街灯がなかったので、明かりがないように見せながら照明を当てる方法を考えなくてはならなかった。難しい仕事だったが周到に準備をした結果、大きなバルーンライトとロウソクと炎を使うことにした」と語るクラウスマンは、燃えさかって煙が充満する家々や通りも撮影した。

Untergang
『ヒトラー 最後の12日間』 1 シーン。

「サンクトペテルスブルクでは絞りを開いて撮影しても、つねにぎりぎりのところだったが、コダックのフィルムには本当に満足した。5218は実にいいフィルムだ。極端な状況でも心配せずに撮影ができたよ。必要なものを本当によくとらえてくれた」

『ヒトラー 最後の12日間』はカンヌで国際的なバイヤーからかなり注目された。昨年秋にドイツの映画館で上映され、2005年には海外に配給される。第二次世界大戦終戦から60年の節目の年である。


| | 著作権