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サンジョアン通りでキャメラをかついでいる撮影監督のカウエ・ウエダ。 撮影 : ©ADRIANO CALIMAN 2004 |
この映画は、レイナルド・ダ・シルヴァ・カルヴァルホがサンパウロの有名な通りを歩きながら、ホテルのドアマンとして眺めていた華やかな 1950年代 を思い出している姿を追う。カルヴァルホの孫のアレクサンドレが監督を務めたこの作品は、サンパウロ州文化長官プレミオ・エスティミュロ賞と、ニューヨーク・ブラジル映画祭の最優秀ドキュメンタリー賞に輝いた。
視覚的な豊かさ
サンパウロのダウンタウンは、建築にイギリス、オランダ、フランスやイタリアの影響が見られるリッチな光景が広がる地区である。撮影監督のカウエ・ウエダはこの映画の調査に2年を費やし、色と構図をとくに重視した。この物語の中では町がカルヴァルホと同等のパートナーだと考えたのである。
「およそ1万ドル(約110万円)という低予算だったが、このドキュメンタリーは 35mm で撮影しなくちゃならないとわかっていた。僕としては、伝統的な撮影スタイルで製作することで真実を語る力を引き出そうとしたんだ。シンメトリックな構図と滑らかな動きにして、僕らが選んだロケ地の自然な色とトーンを生かす計画を立てた」
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夕暮れ時のサンタイフィゲニア陸橋。 撮影 : ©CAUÊ UEDA 2004 |
ウエダは昼間のシーンにはコダック VISION 250D 5246を、夜とタングステン照明のシーンにはコダック VISION2 500T 5218を選んだ。
この作品の中でもとくに重要なシーケンスは、ブラジルで最も有名な交差点であるイピランガ通りとサンジョアン通りの角が舞台になっている。
「この広い面積を照らす照明を用意するだけの予算がないことはわかっていた。イピランガ通りの街灯のそばに立って、露光計を読んだら、“E”だった。感度500 のフィルムで“正しく”露出するだけの明かるさはなかったんだ。僕はアリ BL-2 に高感度レンズを付け、コダック VISION2 500T 5218 を装填して、あとは無言で祈った。テレシネで見たら、シーンのすべてが写っていた。主要な被写体だけでなく、その他のディテールもたくさんとらえられていたんだ。びっくりしたね」
時間の制約に追い詰められたシーケンスもあった。つながりのために、実際には午後8時なのに午後2時に撮影されたように見せなくてはならなかったのである。
「夜に昼の」撮影
「そのシーンが監督にとって重要なシーンで、その時その場所で撮るか、まったく撮らないか、どちらかしかありえないことがわかっていた。ドリーのトラックのすぐそばにキノフロを2台設置して、250 のデーライトフィルムで撮影した。ラボで適切なタイミングをしたところ、そのカットが午後1時に撮った前のカットにうまくつながった。 “夜に昼の”撮影をしたわけだけど、フィルムがじつにうまく対処してくれたよ」
ウエダにとってラチチュードは重要だが、考慮すべき点はそれだけではない。
「フィルムの違いが出るのは、トーンとコントラストとグラデーションの扱い方だね。コダックはシネマトグラファーのスタイルやビジョンに自分たちの技術を合わせる方法を知っている。僕らの仕事は物語の精神と気持ちを理解して、それをフィルムの上にとらえることなんだ」
この作品はオプチカルでポストプロダクション処理が行われた。フィルムの現像とオフラインのテレシネはメガカラーとEスタジオメガが行い、プリントはシネグラフィカ・ラボが作った。「今回使ったフィルムの柔軟性は、この作品の成功に欠かせなかった。とくに低予算ときついスケジュールを考えるとね。あの2種類のフィルムのおかげで、映像を登場人物とストーリーに調和させることができた」 |