flag   日本 [change]
In Camera January 2005
 Feature Films
The Cave
メタンが充満する洞窟で
スタントをするコル・ハウザー。

『The Cave』(洞窟)はルーマニアで撮影したが、辺りが一応見えるけれど歩くには暗すぎるという状況で綱渡りをするようなものだった。使える照明がほとんどない状況では、“観客の想像力で明るくなるさ”というのが僕らの合言葉だった」と、オーストラリア人撮影監督ロス・エメリー(ACS)は言う。この作品で監督デビューするブルース・ハントは、『マトリックス』 (The Matrix)『マトリックス・レボリューションズ』 (The Matrix Revolutions)『ダーク・シティ』 (Dark City) で協力関係が築けたエメリーを選んだのだ。

エメリーはこう語っている。「この作品の舞台は9割が地下の洞窟だから、使える光源は限られている。キャストが小道具の松明やランタンを使って、観客に周囲の様子を見せる必要があった。あれだけ自由に何かをやるのはわくわくするね。完全な暗闇から始めるわけだから、僕がカットやセットを作っていって、光を作品の登場人物として使うことができた」

数種類のフィルムをテストした結果、プロローグの部分はコダック VISION 500T 5279を1絞り増感して粒子を増やし、メインパートはコダック VISION2 500T 5218で少し彩度を落とすことにした。「5218の粒状性にはすごく感動した。400に減感して撮影したんだけど、つねに必要なものより少し多くとらえていて、40前半でプリントしたらパーフェクトだった」

The Cave
メタンが充満する洞窟での撮影。
 

ハンドヘルド撮影とアクセスできない場所へのキャメラ配置が必要だったので、エメリーは交換できるようアリLTに、ツァイス ウルトラ プライムとアリのレンズ データ システムを採用した。このシステムは「暗闇の中では非常に役立った。ビデオアシストでキャメラの設定を確認できたからね」。小さめのセットではキノフロと懐中電灯をカードに反射させ、大きめのセットにはグリッドクロスを通してオーラソフトとフレネルを当て、85m × 30mの巨大なセットでは基本レベルの照明として梁に 6kW スカイパンを吊るし、マキシブルートとジャンボシックスで調整した。

「探検家の一団が洞窟の中で動きが取れなくなるシーンでは、恐怖の要素を高めるためにハンドヘルドを多用し、長いレンズに切り替えて逆上した雰囲気を増幅させた。彼らが洞窟の中を移動するにつれ、光源を減らしてゆらめく炎と火に切り替えていった」とエメリーは説明している。寄生虫が探検家の生理機能に変化をおよぼすところでは、タイミング シフト ボックスに加えてスピードとシャッターを乱高下させ、スウィング シフト レンズで撮影することで、その人物の不快感を表現した。「撮影時に効果を創り出すほうがポストプロダクションでやるよりも、ずっとまとまりがあって役者の演技にぴったりくる」

The Cave
役者のマーセル・ユーレスと照度計を
読んでいるロス・エメリー(ACS)。
 

コダック・シネラボ・ルーマニアがフィルムを供給し、ネガ現像とテレシネサービスを行い、カラリストのアレックス・シオカンがかかりきりで対応した。 『The Cave』 に協力するためにコダックはシネラボ・ルーマニアのHD対応能力を高めたので、これからは同じように手の込んだ作品をサポートできるようになった。レーザーパシフィックからのオンサイトサポートのおかげで、レイクショア・エンタテインメントの重役たちは、毎日、撮影が終わった数時間後にはインターネット経由でラッシュを見ることができた。

「コダックが最近、ハリウッドのレーザーパシフィックを買収したことは、最先端のハリウッド式のラッシュ現像をコダック・シネラボ・ルーマニアで提供できるようになった大きな要因でした」と、レーザーパシフィックの副社長レオン・シルヴァーマンは言っている。「ハリウッドを本拠地としているルーマニアのお客様に、コダックのすべてのソリューションを提供できてとても嬉しく思います。最初の映像からプレビューやデジタル インターメディエイトまで私達を信頼して下さいます」

『The Cave』 のビジュアルエフェクト監督であり共同プロデューサーでもあるジェームズ・マクウェイドはこう語っている。「コダック・シネラボ・ルーマニアは私たちにとって実に幸運な存在だった。レーザーパシフィックの助けもあって、コダック・シネラボ・ルーマニア所長のコーネリア・ポパと彼女のスタッフは、この作業ラインをほぼ一晩で使えるようにしてくれた。そして休みが週に1日という厳しいスケジュールの撮影期間ずっと、すばらしく献身的に効率よく運用してくれた。月曜日に撮影されたフィルムが現像され、HDにテレシネされ、シンクとダウンコンバートとエンコードが施されてFTPサイトにアップされ、それをロサンジェルスにいる私のコーディネーターがダウンロードし、DVDを6枚ほど焼いて重役たちに配布する手はずを整えるまで、すべてが同じ月曜日中にやり終えられる。時差にも大いに助けられたのは確かだが、それでもこのような作業を毎日続けることができる施設は世界中ほかにどこにもないと思うよ。『The Cave』 の撮影がとてもうまくいったので、私たちは現在ルーマニアで別の映画を撮影する準備をしている。この決定にコダックが果たした役割は決して小さくない」

コダック・シネラボ・ルーマニア所長のコーネリア・ポパと彼女のチームは、革新的な HD システムの導入を歓迎している。「ヨーロッパ初のテレシネ設備を入手する過程に、最初のコンセプトの段階から参加できたので納得がいった」と彼女は言う。「2大陸間の驚異的なリンクはすばらしいし、結果も高品質だと思う」とエメリーは力説する。「どこの撮影現場にもコダック・シネラボ・ルーマニアを連れて行きたいくらいだ。こちらを満足させようという彼らの献身と執念には驚いた」

「最近HDラッシュを希望するプロダクションが増えてきています。コダック・シネラボ・ルーマニアには、フィルムからHDへの変換のヨーロッパ一完璧な設備が整っていますので、お客様に満足していただけると確信しています」と、コダックのエマージング・マーケット担当ゼネラル・マネージャーのピーター・ボイスはコメントしている。


| | 著作権