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    コダック VISION3 250D 5207 / 7207
フィルムの真実

ゲイリー・アインハウス
イーストマン・コダック社エンタテインメント イメージング事業部
最高技術責任者



  ゲイリー・アインハウス
ゲイリー・アインハウス

撮影に関するフィルムとデジタルの違いや撮影用フィルムの進化について、イーストマン・コダック社エンタテインメント イメージング事業部の最高技術責任者(CTO)、ゲイリー・アインハウスが答えます。
 

フィルムにアナログ画像を記録した場合と、電子媒体にデジタル画像を記録した場合とではどのような違いがあるのでしょうか?

アインハウス: フィルムは、画像をランダムにサンプリングします。別な言葉で言えば、フィルムは人間が眼で物を見るのと同じような仕組みで画像を記録します。透明なフィルムベースに青緑赤の3つの感光層が重ねてコーティングされており、そこにはハロゲン化銀の結晶がランダムに散らばっています。カメラのレンズから入ってきた光の強さと色によって、それぞれの結晶がどれくらい発色するかが決まります。

デジタルカメラには、画素と呼ばれる撮像素子が均一に並んだセンサーがあります。光がレンズから入ってくると、それぞれの画素が集めた光子を電子に変換し、数値として保存し、読み取ることができるようにします。これはサンプリングシステムと呼ばれています。デジタルカメラには多くの種類があり、センサーの設計も様々ですが、デジタルカメラが色情報を記録するためには、青緑赤の素子を一定の配列で並べなくてはなりません。多くのデジタルカメラは『ベイヤー配列』という並べ方を用いています。ベイヤー配列では、赤と青より緑の素子の方が多くなっています。これは人間の目が緑色の変化に最も敏感だからです。ベイヤー配列は、コダックの科学者、ブルース・ベイヤーが1970年代に発明した技術で、現在でも広く普及しています。動画の場合も、青緑赤の3つのセンサーを用いるのが一般的ですが、センサーはプリズムによって青緑赤、それぞれの色成分に分けられた光を受け取ります。これまで、フィルムと同じように、青緑赤のセンサーを重ねて配置しようという試みがなされてきましたが、一般的には技術的に困難な状態が続いています。
 

フィルムに記録された画像とデジタルの画像とでは、人間の視覚的な受け止め方も違いますか?

アインハウス: 違いはありますが、絶対的なものではありません。画像を非常に大きく拡大して見れば画像自体に違いがあることは、誰にでもはっきりとわかります。デジタルカメラで撮影した画像を拡大すると、四角い画素パターンが見えてきます。それぞれの四角形は、大きさも形も同じです。センサーの設計や画像処理によっては、画像にノイズやサンプリングによる不自然さが見て取れることもあります。一方、スクリーンに映写されたフィルムの映像を見ると、画像はもっと連続的に見えます。非常に大きく拡大すると、色素雲によるランダムなノイズが見えます。このようなフィルムとデジタルの違いは拡大率が小さいときにはよく分かりません。
 

フィルムが画像を記録する方法は人間が眼で物を見るのと同じような仕組みということですが、もう少し詳しく説明していただけますか?

アインハウス: フィルムは人間の眼や脳と同じくアナログのシステムです。「フィルムは有機的である」と言う人もいます。シネマトグラファーが、フィルム画像はルックもフィーリングもより自然だと言う理由のひとつでしょう。
 

フィルムテクノロジーの進歩が、いかにしてVISION2からVISION3への発展に結びついたかをご説明いただけますか?

アインハウス: 長年の映画技術の進歩を見れば、ハロゲン化銀結晶の効率化は向上の一途をたどっており、S/N比も良くなっていることがわかります。S/N比は光がどれぐらい効率よく情報に変換されるかを示す尺度です。こうした改良を続けてきたことで、ノイズを増やさずにより感度の高いフィルムを、また、感度を下げずにより粒子の細かいフィルムを作ることができました。VISION3では、感度も下げず、ノイズも増やさずに、約3絞り分、ダイナミックレンジが拡がっています。これは非常に大きな進歩です。これによりシネマトグラファーはシャドウやハイライトのディテールをしっかり記録でき、クリエイティブに活用できます。
 

VISION3のダイナミックレンジはどれぐらいの数値になりますか?

アインハウス: ダイナミックレンジを測定する基準はありませんが、比較的均一であるS/N比を使って露光範囲を測定すると、約14絞りになります。
 

その数値は現時点での最も高品質なデジタルカメラと比べてどの程度のものですか?

アインハウス: デジタルのムービーカメラは日々進歩していますが、VISION3のダイナミックレンジに匹敵するような製品は見たことがありません。ダイナミックレンジが10絞りあるというデジタルカメラの話を聞いたことがありますが、最新のカメラを測定したところ、約8絞り弱でした。
 

ダイナミックレンジはなぜ重要なのですか?

アインハウス: シネマトグラファーは、人が眼で見たままに、シャドウやハイライトを記録しようとし、その過程で、フィルムのダイナミックレンジを活かす方法を習得していきます。また、デジタル・インターメディエイトの普及によって、ハイライトやシャドウの情報を、かつてないほどに引き出すことができるようになりました。しかし、デジタル・インターメディエイトを使ったとしても、オリジナル画像に情報が記録されていなければ引き出すことはできません。
 

デジタルカメラのメーカーには、4Kが35mmフィルムの解像度に匹敵すると主張している所もあります。35mmフィルムの解像度は実際にはどれぐらいですか?

アインハウス: よく35mmのカラーネガの1フレームには何画素あるのかとよく聞かれます。答えはゼロです。フィルムはデジタルのようなサンプリング システムではないからです。フィルムとデジタルを比較する方法のひとつとして、フィルムをスキャンしてデジタルデータに変換し、どれぐらいのスキャン解像度まで画像情報を引き出せるかを見極めるという方法があります。例えば、35mmフィルムをフル4Kでスキャンした場合と、3Kや2Kでスキャンした場合ですと、その違いははっきりと分かります。比例的に画質が上がるわけではありませんが、6Kならさらに多くの情報を引き出すことができます。35mmのカラーネガを4Kの解像度でスキャンすると、約50メガバイトのデータになります。これに比べ、現在の4Kのデジタルカメラは、4Kの画素を青緑赤で共有していますので、一画像あたりのデータは約10メガバイトとなります。これは必ずしも35mmフィルムが見た目に5倍優れた画像であるという意味ではありませんが、記録された情報の違いがどれほどであるかはご理解いただけると思います。また、フィルムの場合、65mmなど、より大きなフォーマットを用いるだけで忠実な再現性を高めることができます。これはデジタルカメラには難しいことです。仮にできたとしても、実現にはコストがかかります。
 

VISION3 250D 5207/7207は、デーライト光源下で推奨露光指数(EI)250に最適化されたカラーネガティブフィルムです。デーライトとタングステンのどちらかの光源に対してフィルム感度を最適に設計する方法を教えてください。

アインハウス: その質問に対して比較的簡単に答えられるのは、様々な感度で露光するフィルムをどのように最適化しているのかということでしょう。その答えは、低感度フィルムには小さなハロゲン化銀の結晶を用いるということです。それによって光に対する感度をより低く保つことができ、すなわちより低感度になり、より細かい粒状構造が得られます。タングステンに最適化されたフィルムとデーライトに最適化されたフィルムとでは、赤と青の相対感度に違いがあります。光源の赤と青のエネルギー分布の違いを受け止められるように調整することで画像のルックとフィーリングが自然になります。
 

デジタルカメラの場合は、どうやって調整するのですか?

アインハウス: シネマトグラファーが、タングステンまたはデーライトにバランスされた様々な感度のフィルムを選ぶのと同様に、赤、青、緑、それぞれのチャンネルを調整します。これを自動で行うカメラもあります。これは『オート ホワイトバランス』と呼ばれています。ある種のカメラでは、これが問題を引き起こすことがあります。画質に悪影響を与えることなく、赤、青、緑のそれぞれのゲインを上げるには限界があるからです。
 

昨年発表された調査によると、ハリウッドの大手映画製作会社7社は、収益の約35パーセントを昔のテレビ番組や映画の再放送、またはDVD化から得ています。フィルムはこのような状況にどのように適応していますか?

アインハウス: フィルムは長い時間をかけて立証された保存媒体です。35mmフィルムで数十年前に製作されたテレビ番組は、現在の高解像度テレビでもきれいに見ることができます。ですから、今、フィルムで製作された番組は、将来、ホームシアターがどれほど発展しようとも、きれいに見ることができると確信しています。
 

デジタル技術の分野でコダックはどのような役割を果たしていますか?

アインハウス: コダックはイメージング テクノロジーの会社です。コダックはデジタル・スチルカメラを開発・販売していますし、また、映画のポストプロダクションでもデジタル技術の先駆者的な役割を担ってきました。世界で最も広く使用されているテレシネ装置のCCDセンサーはコダックが開発したものです。1991年には、コダックの科学者がシネオン・デジタル・フィルムシステムを開発しました。これには、最高4Kの解像度を持つフィルム・スキャナーとレコーダーが含まれていました。シネオンは、当初、『白雪姫と七人の小人たち』のフィルム復元に用いられ、後にはフィルム映像とCGとの合成やビジュアル・エフェクトに用いられるようになり、最終的にはデジタル・インターメディエイトを確立させました。
 

コダックはこれからもフィルムテクノロジーへの投資を続けますか?

アインハウス: 今後もフィルムテクノロジーへの投資を継続します。それは、お客様がフィルムの改良が大切だとお考えだからです。その最もわかりやすい例が、VISION3に対するお客様のご支持です。私達はお客様のご意見を伺い、当社が持つテクノロジーをお客様の製作に役立つようにして参ります。

 

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