デジタルシネマを語る
ジャスティン・ロビンス氏 エンパイア シネマ 最高経営責任者
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ジャスティン・ロビンス氏 |
エンパイア シネマについて
エンパイアは成長途上の企業です。比較的小規模でスタートしましたが、現在は英国の興行市場の約5%を占めています。どこで区分けするかにもよりますが、大規模シネマチェーンとしては一番小さく、小規模シネマチェーンとしては一番大きい興行会社で、英国での事業を拡大する機会を探っているところです。弊社は現在147スクリーンを保有しており、うちデジタルシネマはハイ ウィッカムに6スクリーンあり、この他に3台、フィルム カウンシル(英国の映画促進団体)のシステムを導入しているサイトがあります。当社のスクリーンはすべて英国内にあります。
興行ビジネス、そしてデジタルのクオリティ
英国の興行ビジネスは順調です。しかし、お客様に提供する映画体験を継続して向上させるためには、やらなければならないことがたくさんあり、デジタルシネマはそれを実現する機会を与えてくれます。例えば、初日にはフィルム上映とデジタル上映にはほとんど違いはありませんが、2週目を過ぎた頃からスクリーン上の画質に差が現れ、デジタルのほうが明らかに良くなります。私は、上映期間中、お客様に安定した画質で映画を提供することは大切であり、デジタルならそれが可能だと考えました。
デジタルのメリット
私たちをデジタル化へと駆り立てるものは、品質、運営のしやすさ、加えて、映画以外のコンテンツにも柔軟性を発揮できるという点です。デジタルシネマは未来への第一歩です。
UCIの営業開発で働いていた頃 、映画館はまだ十分に活用されていないと感じていましたので、私は、映画館の様々な利用法を考える業務にも関わっていました。映画館はすでに地域社会で重要な機能を果たしていますが、将来、より不可欠な役割を担うことができると信じていたのです。さらに、デジタルがその実現に役立ち、様々な種類のコンテンツが上映可能になると確信していました。
驚くべき発見
私たちが実施した出口調査では、驚いたことに、お客様はデジタルシネマの方が音響面で優れていると感じていることがわかりました。最初はお客様の気のせいではないかと思いましたが、調べてみると、私たちが、最も優れていると思っていたDTS方式(35mmフィルム上映に合わせてCD-ROMから音声再生を行う)よりも、デジタルシネマのサウンドファイルの方が圧縮率が低かったのです。そのため、デジタル上映の方が、一般のフィルム上映に比べて音質に濁りがなく、よりきれいなのだと思います。
デジタル・プリショー
プリショーはすばらしいアイディアです。英国人は“だらだらした”広告には耐えられませんから……。典型的なシネアドはテレビCMとは対照的で、10分~13分続きます。これはもう少し楽しめる内容にしなくてはなりません。プリショーはこれから上映される作品を紹介し、様々なコンテンツや広告を取り込み、それらをミックスしてより面白くしたものを提供する素晴らしい方法になるはずです。現在私たちは、シネアドのパートナーであるカールトン・スクリーン・アドバタイジングと様々な検討を行っているところです。
映画本編以外のコンテンツ
私は本編以外のコンテンツの可能性を信じていますが、スクリーンで上映するための基本的な法律上の権利を得るという面で、まだまだ難しい点があると思っています。関係する業界が抱えている課題の一つは、本編以外のコンテンツ自体が、まだ映画館のスクリーンでデジタル上映などできなかった時代の産物だということです。したがって、その基礎をなす契約では、デジタル著作権について何一つ、明確に定められていません。つまり、この分野に新規参入する人は誰もが開拓者ですから、著作権を手にするためには自ら法的な問題を乗り越えていかなければなりません。
音楽が良い例です。映画に音楽を使用することについては非常に明確な事例があります。にもかかわらず、音楽コンテンツの上映のための様々な権利者との戦いは、とてつもなく困難で、簡単なことは何一つありません。デジタル用のスクリーンが相当数に増え、そこから得ることができる収益が説得力を持つようになれば、十分なお金ができるわけですから問題もなくなるでしょう。しかし、現在は開拓時代ですので、コンテンツの上映は一種の戦いです。状況は好転すると信じていますが、すぐにそうなるというわけではないでしょうね。
パートナーの選定
現在そして将来を見越して正しい技術パートナーを選ぶには慎重さが必要です。一見簡単なようですが、現実のビジネスにおいては、映画配給会社と合意済みの適正なバーチャルプリントフィー(VPF)やプリントフィーを提示するパートナーと適正に取引するには、多くの困難が伴います。私たちは将来に向けて付き合うことができるパートナーを探しています。目下検討中の商取引は10年契約です。現在のパートナーが10年後も私たちのパートナーであり、その間、長期にわたってより優れた製品を届けてくれるかどうか、見極めようと考えています。
コダックとの提携について
コダックは当社のためによくやっています。私たちはハイ ウィッカムの劇場にコダックのシステムを6台導入しており、密接に仕事をしています。私たちはこれに全力を傾けており、問題を最小限にとどめることができるよう、同劇場には最高の技術チームを投入しています。問題はほとんどなく、期待通りで、コダックとの連携も大変うまくいっています。技術パートナーとしてコダックと一緒に仕事ができ、私たちは大変満足しています。
3Dについて
次はいよいよ3Dですが、3D上映の運営面ではもっと単純化が必要だと感じています。2Dプラットフォームに3Dの追加が可能であるということは、現在も、将来も、確実に3Dで動作するように、まず、正しい2Dプラットフォームの選定に注力する必要があるということです。3D上映がどこに向かっていて何が必要なのかがわからないまま、3Dシステムを展開することには不安があります。
コンテンツプレーヤーの部分はおそらく難しくはないと思います。本当に難しいのは、プロジェクターとスクリーンが、現在2通りある3Dシステムの両方に対応できるようにすることだと思います。現時点では3Dシステムは2通りですが、将来的はもっと多くの技術が開発されるかもしれません。現状の技術の1つはシルバースクリーンを必要とするものですが、3Dを上映する以上は、どこであろうと、あらゆるシネコンのあらゆるスクリーン、あらゆるシステムで上映できなければならない、と私は思います。
衛星配信とハードドライブ配信
衛星配信の難しい点は、衛星の選択です。ある衛星を選び、それに対し全関係者から同意を得られたとしたら、一度パラボラアンテナを設置すればおしまいのはずです。しかし経験から言うと、衛星配信システムを導入しても、どうしてもひとつの衛星に配信を集中させることができず、特定のコンテンツを受信するために、別のアンテナも設置しなければならないのです。
私たちはハードドライブでの配信に満足しています。読み込みも簡単ですし、かなり安定しています。映画製作スタジオはマスタリング工程に注意を払い、品質の確保に努める必要がありますが、全体的に見れば、そのプロセスは比較的うまくいっていると思います。国全体が衛星配信システムに向けて動き出すようになればメリットがあるのかもしれませんが、その他のヨーロッパの国と同様、採用される範囲が限られている限り衛星配信には当分それほどの利用価値はないのではないでしょうか。
将来について
私たちはデジタルを深く信頼しています。デジタルは業界の将来そのものです。すべてのスクリーンを全ての地域でデジタルに置き換える方向に、業界全体が向かい始めています。
コダックのシステムは高品質で、パートナーとしてコダックと仕事をすることに満足しています。急激に変化する可能性を秘めたデジタルの世界では、長期にわたって頼りになる誠実な技術パートナーの存在が安心を与えてくれます。それは私がこの分野で事業を確実に推進していくことが出来る礎であり、技術が進化していく中で安定を求める私たちに、コダックは安定をもたらしてくれているような気がします。この分野には新参の同業者も多数いますが、コダックがいることで、そこに歴史と安定が生まれると思います。
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