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コダック デジタルシネマ

デジタルシネマを語る

エリック・マッカーシー氏
スクリーンヴィジョン社
営業統括責任者



プリショーのエキスパート

  エリック・マッカーシー氏
エリック・マッカーシー氏

スクリーンヴィジョン社は、スクリーン広告のトップ企業です。米国で14,000を超えるスクリーンに「スクリーンヴィジョン」ブランドのプリショーを提供しており、エリック・マッカーシー氏は、同社でセールス部門のバイスプレジデントを務めています。
スクリーンヴィジョン社が、広告の品質と洗練度を継続して高めていく中で、プリショーのプリパレーションと配信において、コダックに協力を求めるようになりました。現在では、ハリウッドにあるコダックの子会社、レーザー・パシフィック・メディア社が、スクリーンヴィジョン社と契約する北米の劇場、約130サイトの1,422スクリーンに、MPEG2やJPEG2000のスクリーン広告とプレイリストを定期的に配信しています。
マッカーシー氏は、以前はハーキンス・シアターのビジネス開発担当マネージャーで、コダックとの関係はその当時に始まりました。現在、コダック デジタルシネマの2番目に大きなユーザーであるハーキンス・シアターに、コダックのプリショーシステムを導入したのもマッカーシー氏でした。
 

映画業界に入ったきっかけ

私の家族はずっと劇場ビジネスに携わってきました。母方の祖父はニューヨーク州のアルバニーで映写技師組合の設立に携わっており、父も同じ組合に所属する映写技師でした。私はこの世界で育ち、ほとんどお金を払うことなくしょっちゅう映画を見ていましたが、この業界で働こうとは考えていませんでした。
当時の私は、建築に興味があり、大学でも建築を専攻するつもりだったのです。しかし、80年代の後半、建築業界は不況に見舞われていましたので、ビジネスを専攻することにしたのです。
ある日、学生だった私に、ホイッツ・シネマから、運営スタッフ兼劇場マネージャーを探しているとの電話がありました。ホイッツ・シネマでは、この時、私が通学しながら働けるよう配慮してくれたのです。これが映画の仕事を始めることになったきっかけです。
 

プリショーに携わるようになったきっかけ

ホイッツ・シネマでの私の仕事にスポンサーシップを売ることがありました。つまり、広告主を探して、スクリーン広告を売るのです。
その後、私はカリフォルニア州のエドワーズ・シアターに転職し、コンセッション担当ディレクターになりました。そして、コカ・コーラ社などの仕入れ業者と提携し、契約の一環としてメディアキャンペーンを行いました。しかし、私達がデジタルシネアド(実際にはパワーポイントの延長でしたが)をテストしようと思っていた矢先に会社が売却され、私はリーガル社へ、さらにハーキンス社へと移ることになりました。
ハーキンス社ではビジネス開発担当ディレクターになり、その職務の一部として、劇場広告プログラムの推進役を任されました。当時、ハーキンス社は、1年をかけて、私に劇場広告プログラムやそのシステム、提供業者などに関するすべてを学ばせてくれました。こうして、デジタルへの移行を進めていったのです。この時、私たちが選んだのが、コダックのシステム、そしてコダックのパートナー、シネマ・スクリーン・メディア社でした。
 

コダック システムを使った感想

いつも言うことですが、コダックのプリショーは高級品。車にたとえるなら『キャディラック』です。
確かなことは、コダックがシステムを市場に導入する前に、入念な準備を行ったということです。コダックはビジネスチャンスを目前にしたとき、「システムの構築にあたっては、パートナーである興行主が求めるもののすべてを確実に実現できるようにしましょう。それから、広告主のパートナーのニーズにも見合うようにしましょう」と言ったのです。当時は、大多数の人が将来を見通すことができず、プリショーが生き物のように成長し、拡大・変化していくとは理解していませんでした。しかし、プリショーは今もなお進化しているのです。
これからも、プリショーは、観客を楽しませ、広告主にとって利点があるものへと進化し続けるでしょう。コダックは当初から、このことを理解していて、それが実現できるよう、システムを構築したのです。
 

プリショー市場について

スクリーンヴィジョン社は、広告業界において最も成長が速いOOH広告市場(OUT OF HOME:家庭以外の場所で展開される広告)におけるトップ企業です。2009年6月中旬、米国の映画広告団体、シネマ・アドバタイジング・カウンシル(CAC)は「米国におけるスクリーン広告の支出は昨年より19パーセント増え、5億4000万ドルになった」と発表しました。さらにCACの会長は、少なくとも今後数年は、2桁の成長が続くと予測しています。
かつて広告主はテレビやラジオ、新聞、電話帳に広告を掲載していました。今ではスクリーン広告によって、リラックスした雰囲気の中、控え目なやり方で、家庭以外の場所にいる人々の心を捉えることができるのです。スクリーン広告は、人が『うるさく』感じることなく広告を受け入れることができる優れた広告媒体であり、よく出来たスクリーン広告は、真っ白のスクリーンよりも観客を楽しませてくれるのです。
 

スクリーンヴィジョン社の仕事

当社はブラッドフォード・ハウ氏がホストを務める20分間のプリショーを制作しています。彼が出演する部分は月に1回の割合で、その他のコンテンツは2週間ごとに変わり、新しい広告に変更したり、広告の差し替えを行ったりします。
平均してプリショーの55~60パーセントは『エンタテインメント』で、残りの40~45パーセントがスクリーン広告です。また当社は月毎に特定の『テーマ』に基づいたプリショーを制作しています。例えば、4月は『環境』がテーマでしたので『エコ』関連のものだけを上映しました。『環境意識の高い』広告主に集中してセールスすることができますし、広告主も自社の事業に最も関連したプリショーに出稿することができます。
 

スクリーンヴィジョン社が提供する柔軟性

米国市場では、大部分のシネマチェーンで、スクリーンヴィジョン社やナショナル・シネメディア社といった大手がプリショーを提供しており、2社を合わせた市場占有率は約90パーセントにもなります。
当社は、スクリーン広告の制作も行っており、広告主から手持ちの画像や素材などを提供していただければ、当社がオリジナルな広告を作りあげます。かつては、スクリーン広告の素材と言えば、テレビコマーシャルをフィルムにプリントするか、名刺からスライドを制作するしか選択肢がありませんでした。しかし、今ではデジタル技術のおかげで、はるかに柔軟に、より幅広いスクリーン広告という『商品』を提供することができるようになりました。
30秒のコマーシャルからアニメーション、ピクチャー・イン・ピクチャー(PIP)、静止画像にボイスオーバーをつけるなど、デジタル技術のおかげでほとんどどんなことでもできるようになりました。
 

近年のプリショーの変化

初期のプリショーはお粗末なものでした。多くの人が、映画以外の映像を上映でき、そこに広告を組み込むことができるというだけで有頂天になっていたのだと思います。残念ですが、広告とエンタテインメントの『バランス』は取れていませんでした。プリショーの構成の切り替えも計算されておらず、単にかき集めた様々な要素の映像を、次々と流していただけでした。
それゆえ、まず、受け入れられるものと耐えられるもの、求められるものとの『微妙な境界』を見つけることが必要でした。バランス感覚、ホスト、スムーズな進行ができる人、関連付けながら進行できる人……初期にはこれら、すべてが欠けていました。
しかし今は、プリショーを提供する側が、プリショーは『ショー』であることを理解しています。今では、映画館でスクリーンに何も上映されていないと人々は困惑してしまいます。それほど皆がプリショーに慣れてしまったのです。
 

映画配給会社は、プリショーをどう見ているのか

多くの映画配給会社は、プリショーより予告編に関心を持っています。それは、映画の宣伝には、他の何にも増して予告編が効果的であると考えているからです。
しかし、一方では、予告編を映写できる時間が限られていることも分かっていて、プリショーに組み込まれた2~3分の映像、特に作品の『メイキング』の上映が有効であると気づいた配給会社もあります。配給会社はプリショーの価値を理解しつつあるのです。
問題は『価値とは何か?』であり、その価値にどれだけ投資できるかです。
 

主要な広告主は、プリショーをどう見ているか

デジタル・プリショーの上映が始まってから5~6年が経過しました。当初、私達のデジタル・プリショーを評価する人はほとんどありませんでしたが、今では、多くのスクリーンがデジタル上映になっており、多くの広告主がデジタル・プリショーを試し、そして成功しています。最初の頃と比べ、今では広告主に多くを説明する必要はなくなり、とりわけ、全国規模で出稿する広告主へは、スクリーン広告を販売しやすくなりました。
今や、スクリーン広告は、全米規模の広告主にとって、メディアミックスの一部として組み込まれています。昔のように、テレビやラジオのために予定されていた広告費をスクリーン広告に振り向けてもらうため、『自らを売り込む』必要はありません。かつて、プリショーは主要な広告媒体ではないと思われていましたが、時代は変わったのです。
 

興行主はプリショーをどう見ているか

興行主にとって、プリショーは不動産にかかるコストをカバーするための資金源になっています。
スクリーン広告から得る収入は、興行主ごとに若干異なり、当社が提携している劇場の場合もそれぞれ違っています。最小限の収入保証だけの場合もあれば、売り上げを分配している所もあります。後者の場合、当社が機器の費用を負担し、スクリーン広告を販売します。そして、興行主には売り上げの何パーセントかを分配します。また通常、当社は7~10年未満の契約は結びません。これは決して特殊ではなく、多くの場合、興行主とコカ・コーラやペプシなど、飲料メーカーとの契約は7~10年なのです。
 

観客はプリショーをどう見ているか

観客は以前よりプリショーを気に入っていると思います。お客様からは「エンタテインメント性がある。そうじゃないと面白くない。コマーシャルもエンタテインメント性があるから見ていられる」とのご意見を頂戴しました。
エンタテインメント性がなかった時代や、あったけれどもレベルが低かった時代には観客に不満を与えていました。
当社が行ったすべての調査から、プリショーがある方が、また、他社のプリショーより当社のプリショーを好む人の割合が増えていることが分かっています。
 

過剰なプリショー市場

昔に比べてプリショーの更新率は大幅に上がりました。
映画の観客は比較的豊かな消費者層ですが、広告主は、スクリーン広告によって、その消費者層を取り込めることに満足しています。ローカルあるいは地方ベースのいずれでも、スクリーン広告に満足が得られず、二度と出稿してもらえなかったことは、まずありません。そうした例があったとすれば、広告が悪かったか、商品またはサービスがその時の観客に合っていなかったかのどちらかです。
最近では、スクリーン広告の需要が高まるに連れて、小さな広告主を受け入れることが難しくなってきています。各地方の大きな広告主が当社を主な広告費の支出先として認めてくれることは私たちの目標ですが、その過程においては、残念ではありますが、家族経営の小さな広告主を受け入れられないといった事態も起こっているのです。
 

コンテンツ作成におけるコダックとの協力関係について

コダックはすばらしいコンテンツ・プリパレーションを提供しています。4:3のコマーシャルを16:9に変換したり、自社のリソースを活用して当社の作成した広告がスクリーン上で良く見えるようにしたりといったサービスを提供しています。また、タグをつける作業や、コンテンツ同士をつないだり、場面転換部分の作成を行っています。すべてが、非常にすばらしい仕事です。
 

デジタル・プリショーシステムの他の目的での活用について

映画用のスクリーンを利用したテレビゲームは、一部の人が唱えていたほど効果的だとは思いません。町によってビンゴゲームなどを行っているのは理解できます。しかし、論理的に考えると、次のステップは双方向性を持つプリショーでしょう。観客が携帯電話を使って広告主からクーポンなどの割引を受け取るのが、はっきりと想像でき、これは進めるべきです。すべては上映前に行われるのですから……。
多くの興行主は、実際にどういったことが行われるのか、理解が不十分なので、不安を持っています。しかし携帯メールで誰も損をするわけではありませんし、上映前に行われるのですから劇場内で携帯を使用しても差し支えないのです。
 

すべてのコンテンツを大型のデジタルプロジェクターで上映することについて

本編をフィルムで上映しているため、プリショーの上映に小型のデジタルプロジェクターを使っている劇場があります。一方では、カーマイクのように、本編もプリショーも2Kのデジタルプロジェクターで上映する劇場もあります。
当社が2Kプロジェクターへの転換に対応することで、当社のプリショーは、どこの劇場ででも上映できるようになり、それが、ひいては上映品質の向上につながります。また、2Kプロジェクターでは、広告映像もより明るく映写されますので、より多くの広告主がスクリーン広告への出稿に関心を持つようになるでしょう。
現在、稼働している広告上映用の機器が耐用年数に達し、本編用のデジタルプロジェクターが充分に普及した頃には、1台のプロジェクターで広告から本編までを上映するようになると思います。また、本編用機材に投資した興行主が、広告代理店に対して、広告収入の50%以上を支払うよう、交渉を始めることも想定されます。
 

映画体験を高めるチャンス

これからも、単なる映画上映だけが続いていくのでしょうか?
現在、映画は『週末の娯楽』になっています。逆に、映画館は、週4日は映画に代えて『別の何か』を提供することもできるのです。デジタルシステムなら、映画以外の幅広いコンテンツが扱え、双方向性を持たせることも可能です。
一方、劇場自身も『ポップコーンとコーラ』という既成概念から脱しなければならないでしょう。例えば、サンティコス・シアターは、ジェラートアイスのスタンドやフルサービスのレストラン、さらには、大人向けで設備の整ったバーを備えています。こうしたことのすべてが映画を観賞する環境を変化させます。
映画館が、ターゲットを絞り込むようになれば、広告の観点からも映画の観客を絞り込むことができ、それは、当社にとってもありがたいことです。今後、サンティコスは、より客層を特化した商品やサービスを導入していくでしょう。これは、劇場の観客は、均一な人々ではなく、多様なグループから形成されていて、各グループによって、それぞれ適したサービスがあると認識し始めていることを意味します。
しかし、誰にとっても、プリショーがなかった時代に比べればプリショーのある今の方が映画体験は楽しくなっているのです。
 

映画業界に入った決断について

建築ではなく、映画業界を選んだことは良い決断だったのでしょうか?
私は良い決断だったと確信しています。映画ビジネスの方が断然エキサイティングです。建築も何かを作り上げることであり、完成した建物を見るのも素晴らしいことですが、仕事が終わってしまえばそれまでです。
しかし、私の仕事は、未来に向けてプリショーを建築することであり、プリショーは進化し続ける建物なのです。

 

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